一人っ子政策は1979年の改革開放政策と同時に始まった。この政策が始まってから誕生した子供は約1億人に達し、人口13億人の中国で、かなりの比率になってきている。
現在生まれてくる子供は、その男女比率に大きな問題を有している。2000年に男/女の出生比率が1.10だったのが、2005年には1.18まで上昇して、男児の数が女児の数を大きく上回ることとなった。これから、一人っ子政策以後の若者が結婚年齢に達してくるため、この男女比のアンバランスが問題化してくる。また、少子高齢化が急速に進んでくることとなる。
第2子以降の戸籍が得られない子供を黒孩子(ヘイハイズ)という。男子を必要とする農村部で生み捨てられた女児が多かったが、最近では都市部で急増している。広東省の工業地帯、珠江デルタでは黒孩子がすでに5万人以上と伝えられている。外国駐在員の既婚者の子供を生む例が増えているからだそうである。
一人っ子政策のルール:
•都市の夫婦は子供一人まで
•多胎児は全員が戸籍を持つ
•農村は一人目が女の子の場合は二人まで
•少数民族は3人の子供まで
•チベットなどの個別地域では制限がない
•夫婦二人ともが一人っ子の場合は子供二人まで
•都市部では6歳あけると二人目が可能となりつつある
•違反して子供をもうけた場合の罰金は、都市部で15万元(225万円)、地方で7千元(約10万円)
商売人は罰金を払って子供を持つ傾向にある
一人っ子政策の弊害:
•人口の高齢化
2030年には65歳以上が15%となる
•男女比のアンバランス
女子の間引き、捨て子、嫁不足
•戸籍に入れない多くの子供
黒孩子(ヘイハイズ)と呼ばれ、3~4千万人と想定
地方の長男・長女は弟・妹の戸籍を買うため都市に 出稼ぎ
•一人っ子に対する過保護
小皇帝と呼ばれ、社会不適応等の問題を抱える
中国には55の民族があり、漢民族が人口構成で人口の93%を占める。残りの7%の人口を54の少数民族で分け合っている。一人っ子政策が適用されるのは、この漢民族だけであり、上でも示したように、少数民族に3人までの子供が認められる。チベット族のようにまったく産児制限がない場合もある。最近、インターネット等で、中国人のお嫁さんを斡旋しているが、掲示されている釣り書き(身の上調査書)に兄弟が多いのに驚かされる。
さらに、
2007年5月24日文書
中国の一人っ子政策は30周年を迎える 日本も少子化で人口減少中
中国の一人っ子政策が始まってから30年が経過した。最近、都市部で一部複数の子どもを持つことが認められるようになってきたようであるが、基本的にはこの政策は継続している。この影響を受け、これから中国は急速に高齢化社会に向かうことになる。そのようなニュアンスを含んだニュースである。江蘇省(人口7400万人、2001年の古い統計であるが)では、3000万人の誕生が抑制されたとあるので、そのインパクトは強烈である。
しかし、日本に目を転ずると、私の周りではこれと同じ状況が数多く起こっている。子どもの数が少なく、お嬢さんばかりであった場合などには日本でも似たような状況が出現する。老齢を向かえお嬢さんの嫁した近くに住まいを求めたり、お嬢さんの嫁ぎ先の墓の横に墓地を求めるなどである。このような事柄はこれからますます表面化してくるに違いない。「遠くの親戚より近くの他人」とは日本社会のあってほしい現実を言った言葉であろうが、老齢を迎えて頼るのはやはり身内となる。財産分与は年々期待薄となってくるが、墓の数だけはどんどん増え続けることになる。結果的には苗字の違う墓も守って行く。そのような広い心が求められる、そんな家族の絆が求められる時代となって来ている。
キーワード:中国 一人っ子政策 高齢化社会到来 日本少子化 墓守
江蘇:一人っ子政策実施から30年 (2007/05/23 17:51:56、新華通信ネットジャパン)
http://www.xinhua.jp/newsdetails.aspx?newsid=P100009685&cate_id=610
(全文引用)
江蘇省南京市の興達広場で22日、計画生育協会の設立27周年を記念するイベントと署名活動が行われた。同省委員会宣伝部、同省文明弁公室、同省計画生育協会など10部門が共同開催した。
計画生育(いわゆる一人っ子政策)の実施から約30年が経過し、江蘇省では3000万人の誕生が抑制された。導入当初に出産適齢期だった家庭は今、老年期を迎えている。計画生育を受け入れた家庭の中には、一人っ子の子供が病気にかかったり、夭折するなどし、精神的ダメージを受けた家庭もあった。
イベントを開催した10部門はこれを機に、こうした家庭に対し、社会が思いやりの心を持って接し、精神的ダメージの軽減につなげるよう呼びかけている。
(引用終わり) |
|