11. エネルギー資源の状況はどうなっているか? 石油のピークオイル説を中心に

 2007年 4月22日掲載  2014年 1月10日再掲


 地球温暖化の原因物質として、石油や石炭、天然ガスの燃焼時に排出される二酸化炭素が挙げられる。地球温暖化を防ぐためには、これらのエネルギー資源の少量で有効な使用方法が模索されているところである。その一方で、石油資源は、今までの確認埋蔵量が2兆2000億トンであり、今年2007年にも人類はその半分を使い果たすのではないかという説がある。グラフの横軸に年次を、縦軸に石油の使用量を取ると左右相称のベル型曲線になり、埋蔵原油量の約半分を使い切ったときにピークが現れると言う理屈であり、これがピークオイル説といわれるものである。

 アメリカは最初の油田を1858年に掘り当てたが、アメリカ国内の確認原油量の半分を使い果たしたのが、1970年代の前半で、それ以降、国内の原油生産量は低下の一途をたどっている。世界のピークオイルもまもなく来るのではないかと心配されている理由が下図である。縦軸は各年の新たに発見された原油量であるが、その量が減少してきていることは明らかである。下図で黒色の実線で示された原油の生産量(Production)がそろそろピークをつけるだろうと考えられているわけである。原油の埋蔵確認量の棒グラフの面積と比較し、グラフの横軸とこの実線で囲まれる面積が小さくなっているのは、確認された原油埋蔵量の100%を取得することができないためである。一般的に、油田から取得できる原油の割合は、その確認埋蔵量の30〜50%程度であると言われている。

 1960年当時には年間約600億バレルの原油埋蔵量が確認されている。アメリカの例では、原油埋蔵量確認のピークから42年後にピークオイルが現れているので、世界のピークオイルは2007年頃ではないかとの予想がなされている。また、最近見出される油田では、油田の深層化や噴出圧力の低下、さらには油質の低下により、その取り出し・精製により多くのコストがかかるようになってきている。「2003年、石油会社は石油の発掘に80億ドルを使い、発見した新しい油田は40億ドル規模だった。」とも言われている。このことを裏返して考えれば、2003年に発見された油田から(近い将来に)取り出される原油の価格は、倍以上の価格になると言うことである。

 超大油田と呼ばれるのは確認埋蔵量が10億バレル程度を超える油田で、2003年以降このような油田の発見はなされていない。大油田で2〜3億バレルの確認埋蔵量である。世界の石油使用量が1日当り0.85億バレルであるので、大油田であっても、その埋蔵量は数日で消費されてしまう計算となる。実際は先に述べたように、埋蔵確認量が100%取り出せるわけではないので、さらに短期間での消費となる。1バレルは159リットルである。

 アメリカのピークオイルを遠因として、中東の政情不安により1973年に第一次石油ショックが発生した。(Wikipedia:1973年10月6日に第四次中東戦争が勃発。これをうけて10月16日に、石油輸出国機構(OPEC)に加盟のペルシア湾岸産油6カ国は、原油公示価格を21%引き上げと、原油生産の削減とイスラエル支援国への石油禁輸を決定。さらに12月には,翌1974年1月より原油価格を2倍に引き上げると決定した。)その前の1年間で既に石油のスポット価格は1バレル4ドルから10ドルへと徐々に上昇していたが、禁輸によってさらに2.5倍高い26ドルに高騰した。その後の、生活や経済への影響の大きさは記憶に残るところである。

 世界の石油の消費量と世界のGDPは大きく関連している。世界のエネルギー資源の確認埋蔵量は、石油1兆1886億バレル(41年分、2004年末)、天然ガス180兆立方メートル(67年分、2004年末)、石炭9091億トン(164年分、2004年末)、ウラン459万トン(85年分、2003年1月)と言われている。地球温暖化の観点からは、今後ウランの使用量が増加してくるものと考えられるが、いずれのエネルギー源も数年前と比較してその価格が約倍となっている。世界的なエネルギーの取り合いにより、今後とも価格の上昇が続くものと予想される。日本経済新聞(2007年3月30日)にも「ウラン争奪激化 中印の原発推進で需要増警戒 日本はカザフ調達拡大」とある。


  http://info.energyscenariosireland.com/The_Growing_Gap
(※再掲載時点でリンク切れ)




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