38. 東京都の排出権取引価格はCO2 1トンあたり1万5000円 実勢価格の実に10倍の高額となっている

 2010年10月27日掲載  2014年 1月11日再掲


昨日のブログで、中小企業がCO2排出を削減するための設備投資をした場合、国がCO2の排出削減量1トンに対して3000円の補助を2年間にわたって実施すると書いた。

たとえば、1000万円程度のバイオマスボイラー1台は、2年間で400トンのCO2排出量を削減できるので、補助額は120万円程度の計算となる。

ところが、東京都はCO2排出量1トン当たりに1万5000円の価格を提示し、実際に1万2000円で取引が成立した。もし、1000万円のバイオマスボイラーを設置した中小企業が東京都にあり、国からの補助金を断って東京都の方式で取引すると、1万5000円×400トン=600万円の現金が得られる計算となる。このトレードが可能な期間は5年間であるので、うまくするとあと900万円を手中に収めることができ、合計1500万円が得られることとなる。投資額の1000万円はまるまる回収し、しかも500万円のおつりが来た計算となる。

下の図のように、実際の取引には多くの中間業者が介在し、こんなにうまく計算は成り立たないかもしれないが、中小企業にとっては大きな財源となる可能性は大である。しかし、こんな計算が成り立ってよいものだろうか?

CO2という商品を介したマネーゲームが日本においても始まったといってよい。




日経エコロジー 10月26日
東京都のCO2規制で商機拡大 取引第1号は1t当たり1万2000円に

東京都のキャップ&トレード(C&T)制度に対応した取引が早くも成立した。国内初の温暖化ガス削減の義務化によって商機が生まれつつある。

 東京都のC&T制度は、都内の大規模事業所に温暖化ガスの削減義務を課し、達成できないときは他社から認証排出削減量(クレジット)を購入するというもの。

 今年8月に第1号の取引が成立したのはこの都内中小クレジットで、売り手は大和ハウス工業。買い手は、石油製品の仲介を手掛けるギンガ・エナジー・ジャパン(東京都港区)で、22t分のクレジットを双日の子会社などが設立した排出権取引市場(同)を通して購入した。取引価格は、東京都が参考価格として提示する1t当たり1万5000円よりも少し安い同1万2000円に決まった。

 ギンガグループは、日本で唯一、排出削減を義務付けている東京都のC&T制度で、ビジネスを広げようと意気込む。

 大和ハウスは、省エネ照明や太陽電池など同社が販売する環境エネルギー関連商品の導入で削減した温暖化ガス排出量をクレジット化する事業を開始した。 2014年までに数百件を実施したい考え。顧客企業に、クレジットの売却益を得られることをアピールし、環境エネルギー関連商品の販売拡大を狙う。

 排出権取引市場は、2014年度までに累計約500万tを創出するといわれる東京都のクレジットに期待を寄せる。同社は、2015年に80万t、2020年に130万tのクレジットを取り扱う見込みで、3〜4割を東京都のクレジットが占めると見る。

 東京都のC&Tでは、クレジットが圧倒的に不足するのではないかという見方もある。様々なビジネスチャンスが生まれそうだ。






京都環境局の地球温暖化対策


都内中小クレジット(売り手) 22〜23/40

<基準排出量の算定方法>
○削減対策の実施年度の直近3か年度の中から、任意
に選んだ単年度の値(最大値)で、当該事業所が任意に
選択して算出された数値(算定方法は、排出量算定ガイ
ドラインによる。)
<削減量クレジットの発行可能期間>
○削減対策(平成17(2005)年度以降に工事が完了した
ものに限る。)の実施年度又はその翌年度から5 年間有
とする。




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