地球温暖化の原因物質である二酸化炭素(CO2)の、大気への排出を防止する方法として、発電所や製鉄所からのCO2を分離・回収して、海底深くに貯蔵する試みが世界各国で進行中です。深海深くでは高い圧力によりCO2が安定に閉じ込められると考えられています。
本日のニュースは、この貯留したCO2を、バクテリアの力を借りてメタンにまで還元しようというものです。理想的な化学式で書くと、次のようになります。CO2が消費されて燃料として利用できるメタン(CH4)と酸素(O2)が生じます。深海は高圧・低温ですから、生じたメタンは水と化合物を作り、メタンハイドレートとなって安定に存在することになります。
CO2 + 4H2O → CH4 + 2O2
しかし、地球の会期の歴史を見てみるとき、地球大気中の酸素は光合成により生じてきたというのが定説です。光の届かない深海で、CO2をCH4とO2に変えていくには、多大な努力が必要です。ニュースが伝えているように、たとえ成功してもその変換速度は小さく、結果は1000年以上後にならないとはっきりとしないということになります。
地球年代からみると1000年などは瞬間といってもいい時間ですが、人間の時妙から考えると無限にも近い時間となります。CO2問題が1000年も待ってくれるとは私にも思えませんし、まずもって、1000年後に石油や石炭が残っているとも考えられません。
2000年後の人類に燃料としてのメタンを深海に残すという考え方では、意味のある研究になるかもしれませんが。
酸素発生型光合成と藻類
藍藻の光化学系
藍藻や真核藻類そして陸上の植物は,地球上のあらゆるところに存在する水を電子供与体として利用することで生息域を地球の全土に広げています。水のエネルギーのレベルは低く,充分な還元力を得るために2つの光化学系を利用しています。図は光化学系Iと光化学系IIの模式図でZスキームの名前で呼ばれています。光化学系IIで水が分解されて電子が取り出され,光エネルギーによって励起されて電子伝達系を流れていきます。その過程でATPが生産されます。
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地球大気と酸素発生型光合成の歴史
現在の地球大気に含まれる酸素はこのような酸素発生型光合成生物によって形成されたものです。図から藍藻を含む藻類が地球大気の形成に果たした役割が理解できるでしょう。
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