硫黄から作られた建築資材・改質硫黄固化体「レコサール」(新日本石油)の使用実績が今年から本格的に増えてきていると、日経産業新聞(11月25日)が伝えている。
硫黄は石油に含まれる硫黄分を脱硫することで個体として得られてくる。日本では年200万トンの硫黄が得られるが、その使い道は硫酸や肥料などへの加工である。しかし、その必要とされる硫黄の量も年70万トン強。使い道に困るシロモノであった。かつては日本にも硫黄鉱山なるものがあったが、石油化学の発展に従い、姿を消した。
硫黄はS8の化学式で表わされる融点113℃、沸点445℃の、室温では黄色の固体である。かつてはマッチや黒色火薬に多用された。マッチではその頭の部分に硫黄と塩素酸カリウムを主剤として混合し、これをリンを含んだ板にこすりつけると発火する。塩素酸カリウムとリンを混合するとわずかなショックによっても強力な爆発となるので、絶対にしてはならない組み合わせである。黒色火薬は硫黄と炭素、そして硝酸カリウムの組み合わせで、長い歴史を持つ火薬である。
さて、レコサールであるが、下図のような工程で製造される。硫黄が混じるとコンクリートの2倍以上の圧縮強度を持ち、耐酸・耐アルカリ性も強まる。硫黄は燃えやすい化合物であるが、添加剤を加えて燃えにくくしてある。
使用実績としては、下水処理施設、酸性が強い河川の水路や温泉宿の風呂場などである。
用いている原料が、硫黄、石炭灰、スラグ、貝殻と、いわゆる産業廃棄物ばかりで、なおかつ過酷な条件下でも長い寿命が期待できる建材となると、レコサールはなかなかの優れものということになる。また、セメントでは高温での処理を必要とするが、レコサールは硫黄の融点が113℃であることから、低い温度で建築資材に加工することが可能となる。現在、レコサール用の硫黄使用量は1万トン未満であるそうだが、この材は今後伸びてくるものと期待している。
「レコサール」の製造工程(日経産業新聞より)
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