食の安全を脅かした過去の事件
過去に食の安全を脅かした事件を下に列挙した。最近の出来事も多く含まれ、記憶に新しいことと思う。なお、各資料に記載されている「食の安全や事件」に関する項目はそのまま記載させていただいたので、同じ項目が複数回記載されていることもある。また、各項目は記事よりの抜粋としたので、詳細は示したURLを参照願いたい。
資料1は食品偽装の種類、資料2は産地偽装をさらに詳細に、資料3は偽装表示を、資料4は食の安全に対する違反を、そして資料5はコンプライアンス違反に関するものである。
伊藤ハムは資料5の「コンプライアンス違反」に記載されている。
コンプライアンスとは、Wikipediaによると次のように説明されている。
引用開始
コンプライアンスとはコーポレートガバナンスの基本原理の一つで、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うこと。今日ではCSR(企業の社会的責任)と共に非常に重視されている。
このコンプライアンスに違反する事をコンプライアンス違反と呼び、コンプライアンス違反をした企業は、損害賠償訴訟(取締役の責任については株主代表訴訟)などによる法的責任や、信用失墜により売上低下等の社会的責任を負わなければならない。
企業の存在には、利潤の追求だけでなく、食品メーカーであれば「安全な食品を供給してほしい」、放送局であれば「歪曲されていない、良質な番組を流してほしい」など、社会からの潜在的な要請があり、各種法令にも、制定に至るまでには社会からの要請がある。法令は常に最新の社会の実情を反映できているわけでなく、司法もまた万能ではない。ゆえに、単に法令のみの遵守に終始することなく、社会からの要請に応えることこそがコンプライアンスの本旨である。
引用終了
2005年に伊藤ハムは、輸入豚肉の産地偽装事件を起こし、有罪の判決を受けた(資料6)。この事件の発生原因としては、資料7で伊藤ハムの取締役が述べているように、
1.取引の仕方が明文化されていなかった。
2.取引方法の専門性が高く、社員に任せきりにしていた。
3.転勤が少なく、不正の温床となった。
ことがあげられる。
このときの反省に立って、CSR委員会が設けられ、法令遵守のもとに「報連相(報告・連絡・相談)の充実」をするとしていたと次のブログにある。
ビジネス法務の部屋 2008年10月27日 (月)
伊藤ハム社におけるクライシス・マネジメント(危機管理)を考える
引用開始
たしか伊藤ハムさんは、2005年の輸入豚肉に関する関税法違反事件で法人が起訴されたときにも、当時の社長さんは総務担当取締役さんを代理に立てて裁判に出席しなかったことから検察の反感を買い、また裁判所からも(異例の)検察求刑を上回る罰金判決を受けたことがあったと思います。(もし間違っておりましたらご指摘ください。訂正いたします)そういったご経験からも、「危機管理」には経営トップが先頭に立って会社を守る必要性を痛感しておられるのではないかと思うのでありますが、どうなんでしょう。そもそも3年前の不祥事の際、再発防止策としてCSR委員会が設置され、法令遵守とともに「報連相(報告・連絡・相談)の充実」を掲げておられたのでありますから、社内連絡体制の不備が原因だったとすれば、重く受け止めていただきたいと思います。
引用終了
以上、示してきたように、食に関する多くの事件が発生しているが、伊藤ハムは2005年に引き続き、また事件を起こしてしまったことになる。前回の事件の原因が現場の担当者を信頼して任せきったことによるものとされ、今回も現場からの情報が、工場長に届くのに時間がかかり、また工場長から本社に情報が届くのにも長い時間を要したことから、伊藤ハムでの2005年の事件への反省、その反省の上に立つCSR委員会主導の活動が功を奏しなかったことになる。
資料1
食品偽装問題
産地偽装
雪印牛肉偽装事件(2001年)
原材料偽装
ミートホープによる豚肉・鶏肉等の混入挽肉販売(2007年)
消費期限・賞味期限偽装
赤福による「赤福餅」の消費期限偽装(2007年10月)
石屋製菓による「白い恋人」の賞味期限偽装(2007年8月)
食用の適否の偽装
三笠フーズ(大阪市)・浅井(名古屋市)・太田産業(愛知県小坂井町)による 事故米食用偽装転売(偽装米流通)(2008年9月)
その他
船場吉兆による食べ残しの再提供(2007年)
資料2
産地偽装
雪印牛肉偽装事件 2001年
下関ふぐ偽装事件 2003年
国産牛肉不当処分事件 2004年。
フジチク・ハンナン・船場吉兆など
魚沼産コシヒカリ偽装表示事件 2004年
讃岐うどん偽装表示事件 2004年
アサリ不当表示事件 2005年
産地品種銘柄米偽造事件 2006年
ミートホープ卸し肉偽装事件 2007年
比内鶏偽装事件 2007年比内鶏社
船場吉兆偽装事件 2007年
ウナギ偽装事件
らでぃっしゅぼーや偽装事件 2005年。食品会社らでぃっしゅぼー
宮崎産ウナギ偽装事件 2007年
一色うなぎ認証シール事件 2008年
一色フード事件 2008年
サンライズフーズ 2008年
中国産ふぐ偽装事件 2008年
フィリピン産海ぶどう偽装事件 2008年
飛騨牛偽装事件 2008年
事故米不正転売事件 2008年9月
資料3
偽装表示
ミスタードーナツ無認可食品添加物肉まん事件 2000年
不二家シュークリーム賞味期限切れ事件 2005年
石屋製菓白い恋人賞味期限改竄事件 2007年
赤福製造日・消費期限不正表示事件 2007年10月
資料4
Wikipedia 食の安全
中国製冷凍食品による農薬中毒事件
森永ヒ素ミルク事件
カネミ油症事件
岡山や堺で起きたO157事件
雪印乳業の集団食中毒事件
資料5
Wikipedia コンプライアンス
日本企業においてコンプライアンス違反が生じた事例
(2000年以降の主なもの)
食品関連の諸問題
原材料・産地の意図的な偽装
牛肉偽装事件(雪印食品・日本ハム・伊藤ハム等)
雪印牛肉偽装事件
日本ハム 牛肉偽装・隠蔽事件
伊藤ハム 輸入豚肉関税法違反事件
牛肉ミンチの品質表示偽装事件(ミートホープ・加ト吉等)
資料6
Wikipedia 牛肉偽装事件
牛肉偽装事件(ぎゅうにくぎそうじけん)とは、2001年からBSE対策事業の一環として行われた国産牛肉買い取り事業を悪用し、複数の食肉卸業者が輸入牛肉を国産牛肉と偽り補助金を詐取した事件。牛肉偽装に関してはこの他、販売店における産地偽装などが発覚し、食品表示への信頼性を失墜させた。
2005年12月22日 伊藤ハムが輸入豚肉にかかる差額関税制度を悪用し、関税を免れた豚肉約3000トンを購入したとして、関税法違反(脱税品の購入)の罪に問われた。免れた関税の額は10億円近く。東京地裁、飯田喜信裁判長は 「多数のダミー会社を介在させて隠蔽をはかった巧妙、悪質な犯行で、食肉輸入会社の脱税行為を助長させた責任は重い」 と述べ、罰金1000万円の求刑を超える罰金3000万円の異例の判決を言い渡した。大手食肉加工メーカーが同罪に問われたのは初めて。
資料7
共同通信 2005年10月11日
執行役員「現場任せ原因」 伊藤ハムの関税法違反事件
差額関税を免れた輸入豚肉と知りながら購入したとして、関税法違反(脱税品譲り受け)の罪に問われた大手食肉加工会社「伊藤ハム」(兵庫県西宮市)の法人としての公判が11日、東京地裁(飯田喜信裁判長)であり、弁護側証人として出廷した藤原俊夫執行役員(59)は「現場任せでチェック機能が働かなかった」と証言した。 また「信頼できる業者から買い付けるという内規があったが、買い付けは専門性が高く、実質的に(罰金の略式命令を受けた)元社員2人に任せきりとなっていた」と説明。異動が少ない上、内規は文書化されず口頭で引き継がれていただけだったという。 同様に弁護側証人の能勢稔同社取締役(59)も「元社員を信頼しており(脱税品の)裏ポークとは知らなかった。起訴の直前まで信頼していた」と述べた。
明るい食品偽装入門
食品偽装術=台所の工夫術。
家庭の台所であの手この手を駆使すれば、いわゆる「本物」でなくても、「えっ!!」とのけぞるくらいの美味を安くゲットできる。
“食の安全”はどこまで信用できるのか―現場から見た品質管理の真実
序章 食品事件はなぜ続くのか?
第1章 消費者が知らない「賞味期限」のトリック
第2章 卵や肉、身近な食品にはトリックがいっぱい
第3章 「コンビニ・中国産は危ない」は真実か?
第4章 食品事件を防ぐために本当に必要なこと
第5章 賞味期限は「おいしさ」で判断するべき
終章 食品の現場が向かう明日
食品の迷信―「危険」「安全」情報に隠された真実とは
序章 食品の常識には迷信がいっぱい
第1章 誰も言わない中国食品の真実―食品が「危険」にされるとき
第2章 産地偽装、あの手この手―国産ウナギの8割は外国産!
第3章 賞味期限の「期限」は適切か―90日保つ食品を30日で捨てる愚
第4章 「国産」「天然」志向の罠―本当に「安全でおいしい」のか?
第5章 「自然がいちばん」の落とし穴―無農薬・無添加・有機のトリック
第6章 メディアのウソを見破れ―食品報道に見るトンデモ情報
第7章 食卓から見えてくる行政の怠慢―偽装天国ニッポンをつくったのは誰だ!
第8章 見直すべき「食」との向き合い方―食品偽装よりもっと重要なこと
第9章 「食の真実」を知る心得―かしこい消費者になるための7カ条
どうすれば食の安全は守られるのか―いま、食品企業に求められる品質保証の考え方
第1章 食品不祥事を科学的に総括する(わが国の食料事情と輸入食品の現状;大きく変わる食品不祥事の特徴 ほか)
第2章 輸入食品の安全性を検証する(輸入食品の安全性の問題;中国製食品の安全性と必要性 ほか)
第3章 食品表示を分析する(法令に則した食品表示とは;裏面一括表示以外の商品の特徴・強調・あいまい表示 ほか)
第4章 トレーサビリティで食の安全・安心を確保する(食品のトレーサビリティの必要性;トレーサビリティ確保で食の安心づくり ほか)
第5章 コンプライアンスで「企業」「従業員」「消費者」を守る(他社のコンプライアンス違反から何を学ぶか?;今、求められているコンプライアンスとは ほか)
食品偽装 -起こさないためのケーススタディ-
1 消費者保護法制における食品表示の位置づけ
2 食品表示
3 表示制度をめぐる諸課題
4 偽装食品表示の構造
5 なぜ食品偽装が起きるか―起こさないためのケーススタディ
6 品質表示制度だけで信頼が確保できるのか
7 食品事業者の主体的な取組が求められている
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