写真は牛丼を頂くときの作法(手順)です。鶏卵は2つの重なった器に入っていますので、まず器を分け、下の器に鶏卵の中身を、上の器に鶏卵の殻を入れます。サルモネラ菌への感染を防止するためです。
サルモネラ菌は卵の表面についている場合と、さらに卵の黄身の中にも入っている場合があるようです。牛丼の卵の場合には、卵の表面に付いたサルモネラ菌への感染の防止を目的としています。
サルモネラ菌は74℃、1分以上の加熱で死滅します。目玉や焼きや卵焼きとして食べる分には安心です。アメリカ人は生卵は食べないそうです。
サルモネラ菌は37℃の条件下で、20分で倍々に増殖していきますので、買ってきた卵はすぐに冷蔵庫で保存することが必要となっています。
最近は養鶏業者も「食の安全」に力を入れています。富山県での仁光園では農場HACCP認証を取得し、サルモネラ食中毒の心配のない鶏卵を生産しています。
2月5日の日経産業新聞によりますと、イセ食品(茨城県)は卵にひび割れがあるかどうかを、瞬時にかつ正確に、パッキング前のベルトコンベア上で判定することにより、サルモネラ菌に対する消費者の不安解消に応えています。
JAといい、イセ食品といい、食中毒の可能性のある分野においてはHACCPは欠かすことのできないツールとなってきているようです。
たまご(鶏卵)のサルモネラ対策に関するよい資料がありましたので紹介します。JA全農たまご株式会社のホームページです。
JA全農たまご株式会社のホームページより
引用開始
サルモネラ対策のとりくみ
従来、「たまご」の安全性確保の問題は、薬剤残留対策がほとんどでしたが、これらがほぼコントロールされた現在、最も重要な課題はサルモネラ菌対策であると言っても過言ではありません。食中毒事件の多発が社会問題までに発展しつつあるなか、JA全農グループでは、HACCP方式の考え方を取り入れたコントロール手法により、従来以上に安全性を高めた「たまご」をお届けしています。
1.「安全なたまご」をお届けするということ
今までのたまごが安全でなかった、という意味ではありませんが、最終製品であるたまごの検査結果だけで「安全」をうたう従来の手法はもはや社会的に認められない状況となりつつあります。食品の安全衛生対策としては、製造工程を総合的にコントロールするHACCP方式の考え方を取り入れていく必要があります。
2.HACCP 方式とは?
NASAが宇宙食の品質管理のために開発した、国際的な食品衛生管理手法です。食中毒や異物混入などの危害が発生する可能性を工程ごとに確認し、それぞれに厳重な対策を講じていくというプロセス管理によって、総合的に安全性を高めていくことができるのです。
3. サルモネラ菌は有害なものから無害なものまであり、有害なものでも血清型によって症状の程度に差があります。サルモネラ菌由来の動物の疾病としては馬の伝染性流産・羊の流産・ヒナ白痢(S. Puiiorum)・鶏パラチフス(S. typhimurium, S. enteritidis)・牛、豚、羊、馬等の幼獣のパラチフスが知られています。人に対しては、チフス・急性胃腸炎(食中毒)が知られており、特に最近では1990年に約700人の食中毒患者を出した広島市でのティラミス事件(材料の生卵が原因とされている)で騒がれたように、欧米での鶏卵起因の食中毒の頻発とあわせS.enteritidis(SE)がクローズアップされてきており、1989年にはサルモネラ食中毒の原因菌株の首位にネズミチフス菌を抜いて占めるようになりました。また、わが国では1991年にはサルモネラ食中毒が腸炎ビブリオを抜いて首位となり、現在もその傾向は変わっていません(表1)。
4. サルモネラ菌の発育・増殖の最も適した温度(至適温度)は37℃付近であり、このような温度条件下では20分に1回の割合で2分裂して増殖するので、1個のサルモネラ菌が7時間後には人に食中毒を起こすに十分な約200万個にもなります。至適温度以外でも8〜45℃であれば分裂速度は遅くなりますが増殖可能です
5. また、サルモネラ菌の増殖には水分活性0.94以上、pH4〜8の条件が必要とされていますが、酸素の有無にかかわらず生存増殖できます。更にサルモネラ菌は乾燥に対して大腸菌よりも抵抗性があり、乾燥した糞・塵埃・飼料・食品あるいはヒナの綿毛などに付着したサルモネラ菌が数年間生存することが認められています。ただ、熱に対する抵抗力は弱く、70℃以上の温度下では生存できないし、62〜65℃で30分の加熱で死滅します。なお、鶏卵の調理法とSEの殺菌時間を表2に示します。
表1
|
総 数 |
サルモネラ菌属 |
腸炎ビブリオ |
病原大腸菌 |
その他の細菌 |
件数 |
患者数 |
件数 |
患者数 |
件数 |
患者数 |
件数 |
患者数 |
件数 |
患者数 |
1990年
(H2年) |
673 |
32,640 |
129 |
8,303 |
358 |
9,128 |
19 |
6,135 |
167 |
9,074 |
1996年
(H8年) |
969 |
41,025 |
350 |
16,576 |
292 |
5,241 |
179 |
14,488 |
148 |
4,720 |
1997年
(H9年) |
1,630 |
29,104 |
521 |
10,926 |
568 |
6,786 |
176 |
5,407 |
365 |
5,985 |
1998年
(H10年 |
2,620 |
36,337 |
757 |
11,471 |
839 |
12,318 |
285 |
3,599 |
739 |
8,949 |
1999年
(H11年 |
2,356 |
27,741 |
825 |
11,888 |
667 |
9,396 |
245 |
2,284 |
619 |
4,173 |
2000年
(H12年 |
1,783 |
32,417 |
518 |
6,940 |
422 |
3,620 |
219 |
3,164 |
624 |
18,693 |
2001年
(H13年) |
1,469 |
15,753 |
361 |
4,949 |
307 |
3,065 |
223 |
2,671 |
578 |
5,068 |
2002年
(H14年 |
1,377 |
17,533 |
465 |
5,833 |
229 |
2,714 |
97 |
1,641 |
586 |
7,345 |
2003年
(H15年 |
1,110 |
16,551 |
350 |
6,517 |
108 |
1,342 |
47 |
1,559 |
605 |
7,133 |
|
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