今はまだ花粉症の季節のただ中で、多くの方がマスクを手放せない状況にあります。
花粉症の治療法として脱感作療法が有名ですが、これはアレルゲン(杉とか檜のアレルギー成分)を濃度を少しずつ濃くして、人体に注射していくことにより、アレルゲンへの過激な反応を弱めるものです。通常5年程度の治療期間を要するとされています。
これに対して、今回、加藤昭夫名誉教授が効果を確認した飲み薬による方法は、治癒率が高く、しかも治療期間が1年と優れものです。さらに、薬作りに必要な杉花粉は組織培養と、量産化もにらんでいます。この方法が多くの方に恩恵をもたらすことを祈っています。
asahi.com 4月8日
山口大学発 加藤昭夫名誉教授の花粉症治療薬
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◆錠剤 患者の7〜8割が症状改善
春先から初夏にかけて多くの人たちを悩ませる花粉症。山口大農学部の加藤昭夫名誉教授(たんぱく質工学)が、その症状を改善する飲み薬の研究を進めている。研究では患者の7〜8割に効果がみられ、副作用の心配もないという優れもの。
加藤名誉教授によると、スギやヒノキなどの花粉が体内に入ると、慣れていない体はくしゃみや涙、鼻水などで花粉を流し出そうとする。これが花粉症の正体だ。
加藤名誉教授は、スギなどの花粉に、これらのアレルギー反応を起こすたんぱく質が含まれていることに着目。このたんぱく質は、グアガムと呼ばれるマメ科の植物の皮に含まれる糖と結合しやすい性質があり、たんぱく質が糖と一緒に体内に吸収されると、体内の抗体が反応しなくなるという。これを利用し、たんぱく質に糖を覆いかぶせ、アレルギー反応が生じないようにすることを思いついた。
そこで、NPOや園芸農場、東京都などと共同で数百キロの花粉を収集し、グアガムの皮から取り出した成分と合わせ、錠剤の飲み薬を完成。05年から3年間、約80人の花粉症患者に薬を試してもらったところ、7〜8割で症状の改善が確認できたという。
◆実用化へベンチャー設立
加藤名誉教授は薬に「春よ来い」と命名し、昨年6月には薬を製造・販売するベンチャー企業「プロテック」も立ち上げた。正式な医薬品として許認可を得るには時間がかかるため、まず民間療法として病院などで使ってもらうことを考えているという。「これを飲めば、花粉症の症状が根本的に治る。身近な病院でも利用できるように広めていきたい」と話している。
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関西テレビ 3月7日
花粉症 最新治療法!
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茨城県つくば市では、杉の木を切り、花粉がついている部分を大量に集め、お母さんたちが、せっせと袋詰めをしています。その数およそ3万本。20℃前後に管理されたビニールハウスで、なんとスギ花粉を水耕栽培。
山口大学、加藤昭夫名誉教授は、こうして集めたスギ花粉を精製し、アレルギーの原因となるタンパク質を取り出し、科学的にコーティングすることで、アナフィラキシーを起こさない飲むワクチンを開発中です。
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さらに、
2009年4月21日掲載
花粉スギ根絶 道のり険しく 花粉スギの植え替えが終了しても効果は期待できず!?
国の花粉スギの植え替え計画。都市部の花粉症患者を救うために、都市部に花粉をもたらすと考えられる杉林9万5千ヘクタールの約半分を10年間で植え替えようという計画。5万ヘクタールとすると、1ヘクタールが100m四方の広さであるから、約22キロメートル四方の杉林の植え替え計画となる。
この植え替え計画が初年度からつまずいているという話である。
補助金が少ないこと。
たとえ計画通りの植え替えが完了しても、都市部の花粉量は2割程度しか減らないこと。半分を植えかえれば花粉量は半分になってしかるべきと思うが、計画では花粉量が2割減となっている。花粉量が半分になっても大きな症状の改善は期待できないと考えられるが、これが2割減ではなおさら効果が少ない。
国の計画では10年間で小花粉スギ1000万本を植えるとしている。これに広葉樹が加わる。杉1000万本を5万ヘクタールに植えるのであるから、1ヘクタールあたり2000本、1アール(10m四方)あたり20本となる。
今回のニュースでは、0.4ヘクタールの吉野杉を切り広葉樹500本を男性が植えかえたとあるが、植林密度は1アールあたり広葉樹13本となる。手伝いも入れての植え替えと思うが、これを一人で行ったとして、1日に杉を2〜3本切り倒して運び出し、2本の広葉樹を植樹したことになる。5万ヘクタールを植えかえるには約50万人・年(10年で実施となれば毎年5万人)の人が必要となる。補助金総額は5万ヘクタール×20万円/ヘクタールで1000万円。どう考えても割に合わない。
国が花粉症対策を実施していますよとのポーズを取っているにすぎない政策と考えられる。
asahi.com 4月18日
花粉スギ根絶 道のり険しく
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4人に1人が苦しむとされるスギ花粉症を根元から絶つ国の対策が苦戦中だ。08年度からの10年間で都市部に花粉をもたらす9万5千ヘクタールのうち、半分程度を広葉樹や花粉の少ないスギに植え替える計画だが、初年度の実績は奈良を含む5県のわずか計約17ヘクタールのみ。協力者への補助額が少なく、環境への配慮から植え替え面積を制限していることがネックとなっているようだ。
▲植え替え目標900ヘクタール
制度は、全体を植え替えると1ヘクタールあたり20万円、半分程度を伐採すると同10万円の補助金が出る。対象は、林野庁が首都圏や京阪神に飛んでくる花粉の発生源とみなした15都府県の計79市町村。この制度によって、国は少花粉スギの苗木を17年度までに1千万本供給する態勢を整える計画で、実現すれば飛散量が2割程度減ると試算する。10日に発表された政府・与党の新経済対策でも力を入れ、12年度までに300万本の植樹を目指す。
しかし、制度の事務局となっている全国森林組合連合会などによると、植え替えに協力した森林所有者は奈良、福井、兵庫、埼玉、静岡各県の約35人で、面積は合わせても目標の0・1%にも満たない約17ヘクタール。協力呼びかけのため全森連が各地で説明会を開いたが、補助金額について「20万円では持ち出しになって割に合わない」「できない相談だ」との不満が相次いだという。
▲補助少額で2ヘクタールのみ
奈良県は桜井、五條、御所、明日香、吉野、下市の6市町村が対象で、県内の10年後の植え替え目標は900ヘクタール。だが初年度に協力したのは吉野町の3人で、実績は計約2ヘクタールのみだった。
高さ20メートルを超す吉野杉を切り、0・4ヘクタールにヤマザクラやケヤキを500本ほど植えた男性(54)は「補助金だけでは(安すぎて)植え替えられない。そもそも花粉症になるから全部切ってしまえというのは、山より都会の人を向いた政策のようだ。なかなか広がらないのでは」と話す。
急激な大規模伐採による環境への影響を避けるため、1カ所の植え替え面積を1ヘクタールまでに限っている点もなかなか進まない理由のひとつだ。林野庁計画課は「まだ初年度であるうえ、花粉の少ないスギになじみがなく、植え替えに抵抗を感じている人もいるのではないか」という。
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