教授一人当たり3万円位の金品を受け取ったということになるのでしょうか。
論文博士の学位論文審査には、主査の教授1名と副査の教授2名がその審査に当たるのが普通と思います。副査の教授は論文に目を通して、学術的に博士論文としてふさわしいかを判定します。一方、主査の教授は、論文提出者が博士にふさわしいレベルにまで論文を仕上げる責任を持たなければなりません。
博士論文を提出する前に、学術論文を論文誌に投稿し、その論文をまとめあげたものが博士論文となります。農学部、理学部、工学部とのことですので、一般的には3〜10報の論文を英文雑誌に投稿することになります。この論文の妥当性も場合によっては教授が相談に応じることになります。
さて、このような手順を踏んで、博士論文の質が一定の水準に達し、論文公聴会での質問にも無事に耐え抜きますと、晴れて博士号(学位記)が与えられることになります。
論文博士を取ろうとするのはほとんどが社会人です。3万円位と言ってしまえばおしかりを受けるかもしれませんが、もしこの金額であると教授の献身に対しては妥当な謝礼かもしれません。私が博士号を受けたとしたならば、きっと同じことをしたかもしれません。社会人としては、どのような形で感謝の念を表すかに悩むところです。
また、この問題は先の横浜国大のケースとは趣を異にしていると思います。
さて、この問題は北海道大学の教授が公務員であるから起こったことなのでしょうか? 多くの私立の大学でも同じような事態が起こっていると思うのですが。その実態やいかに? 興味のあるところです。
読売新聞 4月22日
北大でも博士号謝礼、4人処分
引用開始
北海道大学は22日、2007〜08年度に実施した論文博士の学位論文審査を巡り、同大農学、理学各研究院と工学研究科所属の教授ら9人が、博士号を取得した7人から現金計28万円や商品券、陶磁器のカップなどの謝礼を受け取っていたと発表した。このうち、横浜市立大での謝礼受け取り問題が発覚した08年3月以降に謝礼を受け取った4人については、「学位に対する信頼を損ねた」として訓告処分した。
同日午前に記者会見した北大によると、謝礼を受け取ったのは、最近2年間、大学院外の民間企業や研究機関の研究者らが提出した論文の審査を担当した教授、准教授の計9人(3人は08年3月退職)。謝礼の最高額は、2件の審査に携わった教授の15万円。2人の教授が現金を受け取り、残り7人は最大で10万円の商品券、カタログギフトなどをもらっていた。
大学の調査に対し、教授らは「お歳暮代わりと思った」「学位の授与式が終わった後のことで、儀礼の範囲内だと思った」などと回答。学位の取得者は「(博士号取得の)見返りに要求されたことはなかった」と説明しているという。
同大では今年2月、「謝礼の授受が行われている」との匿名情報が寄せられたことから、07、08年度に授与された論文博士の学位132件を審査した293人の教員を対象に、内部調査を進めていた。
引用終了
読売新聞 2008年7月30日
横浜市立大の謝礼問題、前副学長ら20人を処分
引用開始
横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の学位取得を巡る謝礼授受問題で、同大は29日、大学院生に謝礼を要求したとされる前副学長の奥田研爾(けんじ)教授(62)を停職4か月、12人から計300万円を受け取った前医学部長の嶋田紘(ひろし)教授(64)を停職2か月とするなど20人の処分を発表した。
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