121. ノーベル賞受賞者が死亡していたことが判明 ノーベル財団は今回は例外として賞の授与を決定

 2011年10月 4日掲載  2014年 1月22日再掲


「故スタインマン教授の受賞取り消さず ノーベル財団」 本日の新聞記事である。

ノーベル賞受賞の必要要件の一つが、ノーベル賞受賞者が発表される段階で生存していることである。ノーベル賞に値する業績が多くあり、はるか昔の功績に対して賞が与えられることも多く、ノーベル賞受賞のためにはノーベル賞候補に挙げられた人はとにかく長生きする必要がある。

ノーベル財団がノーベル賞候補者をどのように選出しているかは秘密のベールに覆われていて、その分、受賞者が発表される時には全世界から大きく注目をうける。ノーベル財団の受賞者候補の名簿は50年たってやっと特定の人のみが閲覧できるシステムとなっているので、誰もがその内容を正確にはうかがい知ることができない。

財団のリストにはノーベル受賞者などが推薦した多くの受賞候補者の氏名が記され、その中より、財団の分野ごとに決めたテーマに沿って受賞者が決定されていくものと考えられる。

受賞者を言い当てるためのいろいろな予想がなされることになる。たとえば、トムソン・ロイター社は毎年ノーベル賞の有力候補を選出している。今年も日本人1名が選出され、その数は毎年加わっていくので、、今回の大野教授を含めるとこれで合計13名の日本人が有力候補として名を連ねた(下表参照)。

医学・生理学賞については、ロイター社の予想とは異なり、その分野が今年は残念ながらiPS細胞ではなく免疫であったようだ。これにより残念ではあるが、審良教授(免疫学)がノーベル賞を受賞できる可能性はなくなった

日本人の候補者13名中、すでに2名が死亡している。受賞間違いなしと言われた戸塚教授も既に死亡しているので、やはり長生きすることが要件である。

本日は物理学賞、明日は化学賞の発表である。日本人の受賞を期待している。




          http://journal.mycom.co.jp/news/2011/09/22/003/


asahi.com 10月4日

故スタインマン教授の受賞取り消さず ノーベル財団

 ノーベル財団は4日未明、今年のノーベル医学生理学賞受賞者について、発表直前に亡くなっていたことがわかった米ロックフェラー大学のラルフ・スタインマン教授を含む3人に与える決定を変更しないと決めた。

 ノーベル財団によると、スタインマン教授が亡くなったことが、ロックフェラー大学学長を通じて知らされたのは3日午後2時半(現地時間)で、同日午前11時半の発表時点では、亡くなった事実を知らずに決定したと説明。この知らせを受けて、ノーベル財団は、同日午後会議を開いた。

 その結果、「極めて異例で、過去に例がないことである」とした。そのうえで故人には賞を授けないという内規はあるが、発表から授賞式までの間に亡くなった場合には、賞を授与するという判断もある。今回は財団が発表時には亡くなったことを把握しておらず、授賞式までの間に亡くなった例に近い。このため、今回の受賞者は、当初の発表どおり変えないという決定に至った。



毎日jp 10月4日

ノーベル賞:医学生理学賞発表 免疫の重要物質発見 細菌認識し、攻撃

 11年のノーベル医学生理学賞は、生物が細菌などの異物から体を守る免疫システムで業績を上げた3氏に贈ると発表された。

 免疫には大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」がある。生体内に細菌などが侵入すると、まず働くのが自然免疫だ。

 ジュール・ホフマン氏は96年、Toll(トル)という遺伝子が感染症予防に重要な役割を果たしていることを、ショウジョウバエを使って発見した。ブルース・ボイトラー氏は、細菌を認識して免疫機構を作動させる、Tollに似たたんぱく質「Toll様(よう)受容体」をマウスの体内で発見し98年に発表した。こうした仕組みはヒトを含む脊椎(せきつい)動物や昆虫などに共通している。

 一方、獲得免疫は自然免疫の数日後に働く機構で、脊椎動物だけが持つ。ラルフ・スタインマン氏は、異物をのみ込むように自らの内部に取り込む、枝のような突起を持った「樹状細胞」を73年に発見。樹状細胞が分解した物質を白血球などの免疫物質に「抗原」として提示し、白血球が効率的に攻撃できるようにするなど重要な役割を果たしていることを明らかにした。




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