187. 専門家の株価予想は当てにならない 年末は利益確定売りで値が下がるはずではなかったか?

 2009年12月22日掲載  2014年 3月 5日再掲


クリスマス休暇を控え、利益確定売りで株式は売り込まれ、米ダウは値を下げるとの予測が、テレビで放送の株式予想の主流であったが、そんなことにはならずに株価は維持しているようである。この予想(予測ではない)の外れに対しては、それらしい後追いの理由がついてその筋の専門家全員のコンセンサスが成立し、自分が言ったことも忘れてまた同じ説明を始め、誰が何を言ったかなど関係なく自分の読みが正しかったと自信を持って説明を始め、一件落着。来年の予想を始めるのである。

一般社会における専門家は、たとえば設計を間違うと大いに社会的制裁を受けることになるが、こと経済、特に株式に至っては当たらないのが当たり前という前提があり、社会は「またか」と容認するようである。株式の専門家にはファンダメンタルからの株価の予想は可能なのか? さらに心理面をも取り入れた株価の予想は可能なのか?

こう考えると、ホリエモンではないが、人心をコントロールすることにより、自ら株価をコントロールするしか株価の工程を正確に言い当てることができないということになる。ただし、この場合にも、ダウ全体を、また日経全体をコントロールできることなどあり得ない。

米国においては先のバブルの形成には、証券会社同士の阿吽の呼吸が一役買った可能性もあるが、それでも役割のほんの一部を担っただけで、米国景気を高止まりさせようとした国家、それに追随して動いた銀行や不動産業者、そしてその空気に飲み込まれた無知な一般消費者など、誰にも止めることができない大きな潮流が形作られていたものと考えられる。とここに記したのも、もちろん後追いの説明である。

「2010年世界経済大予言 大恐慌を逆手に取る超投資戦略」(松藤民輔、増田悦佐、2009年9月発行、ビジネス社)では、両者は経済の専門家を自称する。そして多くの予測がなされているが、その中に2010年10月にはダウ平均株価は4000ドルになる(p110〜113)というのがある。年内(2009年12月末)は6000ドル程度でしょう、とあるのですでに大きく予想を外していることになる。

専門家の意見など後付けにすぎないとの、上条詩郎氏の書籍「投資リッチの告白」は株式専門家の本質を言い当てていることになる。投資と投機は違い、決して投機に走ってはならないとの氏の言葉はまさに金言であり、財をなしえた人のみが発する事が出来る言葉である。



米国ダウ 2009年12月21日






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