192. 特許検索システムを組み込んだ新ビジネスモデル ライバルが何を検索しているかがわかるが・・・・

 2009年12月24日掲載  2014年 3月 7日再掲


ここに提案されている特許検索システムastamuseは、Googleを検索する感覚で、簡単に特許などの知的資産が検索できるというもの。さらに、多くの検索者がこのサイトに登録することで、時系列で表示される検索件数が意味を持つことになり、どの特許がいま注目を集めているかが分かるようになる。

この道具、使い方次第では効果を発揮すると考えられるが、私が会員登録をせずに検索してみたところでは、特許検索に使用できるキーワードが一単語に限定され、複数のキーワードを論理記号で絞った検索をするには至らなかった。また、その結果として得られる結果も焦点のぼやけたものとなっている。

発明者の名前ではまだ検索ができないようなので、今後システムをブラッシュアップしていくことが望まれる。

「匿名性を保ったまま自分に近いプロフィールを持つ研究者や技術者」、との下りはおそらくは会員登録時に自己申告する研究者プロフィールかと考えられる。したがって、このプロフィールを用いれば同業者がある特許にどの程度の興味を持っているかが時系列で把握できることになるとの理屈である。

全員が正直者であるならばまさにそうであるが、この方式は両刃の剣。当方が何を検索したかを先方(敵対する会社の研究者)が知ることができる。もし、当方が正直者であるならば、との前提つきであるが。

このシステムと特許庁のシステムを比較すると、私には特許庁のシステムのほうが使いやすい。また、コンペティターが何を探っているかを知ろうとしたときには、自社のホームページへへのアクセスログを解析すれば、astamuseが提案している方法よりも、もっとかゆい所に手が届く解析結果を得られることになる。

無料であることも手伝って、すでに50万人もの登録しているとのこと、この数字は日本の労働人口の約1%。研究者や技術者の割合はいくら多くても労働者人口の10%程度であると考えられるので、日本の労働人口の10%程度がすでにこのシステムに登録していることになる。この数字、合っているのでしょうか?

新ビジネスシステムであるastamuseが、新たな価値創造に寄与していくか、今後の発展を見届けていきたい。



以下、引用

「ライバルは何を検索している?」---技術の動きを見える化する特許検索サイトが正式公開

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091222/178823/

 知的財産関連サービスのパテントビューロ(本社東京)は2009年12月18日,研究機関やメーカーに勤める研究者や技術者が手軽に特許情報を得られるWebサイト「astamuse」を正式に公開した。使用は無料。自分がかかわる産業や技術をあらかじめ設定しておくと,匿名性を保ったまま,自分に近いプロフィールを持つ別のユーザーがどのような特許を検索/閲覧したかをリアルタイムで把握できる。同サイトの試験版は同年6月に公開されており,既に50万人のユーザーがいるという。

 astamuseは,知的財産の専門知識がなくても,googleやYahoo!を検索するような手軽さで特許情報を得られる点に特徴がある。トップページには,キーワード入力ボックスが用意されているほか,「発明・特許検索」「商品検索」「企業検索」などのサブカテゴリーから興味のあるテーマを掘り起こすことも可能だ。例えば,発明・特許検索をクリックすると,絞り込み検索ができるキーワード入力ボックスのほかに「発明・特許人気ランキング(トップ10)」と「新着発明・特許(新着順10件)」が表示される。この中から気になるものをクリックすれば,そのままその特許情報にアクセスできる。

 個別の特許のページにアクセスすると,まず確認できるのは,その特許の「目的」と「効果」だ。そして,その下に「この発明と関係が強い技術」「この発明と関係が強い企業」「この発明と関係が強い技術者・代理人」などが掲載されている。個別の特許の情報でありながら,関連情報を横断的に把握できる仕組みだ。もちろん,個別特許の「要約・請求項」「詳細」「経過情報」「参考文献」も,それぞれのタグをクリックすれば,そこから入手できる。

 自分に近いプロフィールを持つ別のユーザーが見たページは,astamuse内のどこを閲覧していても,ブラウザ画面の左側に常にリストアップされる。これを定期的にチェックすれば,自分がかかわる技術の「動き」が見える。

 パテントビューロでは2010年1月上旬,研究者/技術者が「自分の市場価値」を確認できるようなツールも提供する予定だ。自分自身と同じ研究/開発をしている研究者/技術者が全国にどのくらいいるのか,自分が開発した技術はどのくらい注目されているのかを見える化するのだという。




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