ユニクロの柳井正CEOが6年前に書いた書籍「一勝九敗」はいま読み返しても、会社運営の方針がはっきりと示された良著である。一勝はわかるとしても、どこで九敗があったか? 九敗とは、柳井CEOが父親より家業を引き継いでから、ユニクロを軌道に乗せるまでの数々の試行錯誤のことである。
この試行錯誤の時期が、ユニクロの産みの苦しみであったのだろう。その苦しみがあったればこそ、ユニクロの勝ちパターンが形成されたのだろう。
この本の目次を見れば産みの苦しみがどのようなものであったかは、おおよその想像がつく。
昨年末にユニクロ(ファーストリテーリング)小売業トップの圧勝と報道されているように、デフレ経済の追い風を受けて、ユニクロはますます好調である。この正月1日、2日の人出も好調であった。
これは、もちろん、柳井正CEOのぶれない経営によるところが大きい。以下に、本書の目次と、本書に記されている柳井正CEOの十戒を転記させていただいた。この十戒が企業運営のための羅針盤となったものと考えられる。
東京新聞ニュース
2009年12月31日 朝刊
ユニクロ 小売業トップ
今年の東京証券取引所一部の時価総額ランキングは、昨年は五位につけていた任天堂が、ゲーム機「Wii」「ニンテンドーDS」の販売台数減少によりベストテン外の十一位にランクを落とした。
また昨年は十三位だったセブン&アイ・ホールディングスがスーパーなどの低迷で三十三位まで急落。一方、低価格衣料品で業績を伸ばしたファーストリテイリングが三十八位から三十一位に上げ小売業ナンバーワンとなった。
首位は八年連続でトヨタ自動車。時価総額は昨年よりも約三兆三千六百億円増え、十三兆三千七百八十二億円だった。
柳井正著 一勝九敗 より
目次
1.家業からの脱皮
2.挑戦と試行錯誤
3.急成長からの転換
4.働く人のための組織
5.失敗から育てる次の芽
企業家十戒
1.ハードワーク、1日24時間仕事に集中する。
2.唯一絶対の評価者は、市場と顧客である。
3.長期ビジョン、計画、夢、理想を失わない。
4.現実を知る。その上で理想と目標を失わない。
5.自分の未来は、自分で切り開く。他人ではなく、自分で自分の運命をコントロールする。
6.時代や社会の変化に積極的に対応する。
7.日常業務を最重視する。
8.自分の商売に、誰よりも高い目標と基準を持つ。
9.社員とのパートナーシップとチームワーク精神を持つ。
10.つぶれない会社にする。一勝九敗でよいが、再起不能の失敗をしない。キャッシュが尽きればすべてが終わり。
経営者十戒
1.経営者は、何が何でも結果を出せ。
2.経営者は明確な方針を示し、首尾一貫せよ。
3.経営者は高い理想を持ち、現実を直視せよ。
4.経営者は常識にとらわれず、柔軟に対処せよ。
5.経営者はだれよりも熱心に、自分の仕事をせよ。
6.経営者は鬼にも仏にもなり、部下を徹底的に鍛え勇気づけよ。
7.経営者はハエタタキにならず、本質的な問題解決をせよ。
8.経営者はリスクを読みきり、果敢に挑戦をせよ。
9.経営者はビジョンを示し、将来をつかみ取れ。
10.経営者は素直な気持ちで、即実行せよ。 |
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