211. たむらけんじ なぜド素人経営者の焼肉屋は繁盛したのか? 炭火焼肉たむら

 2010年 1月 3日掲載  2014年 4月15日再掲


たむらけんじが義母の焼肉店を繁盛店に変えていくお話である。

低価格でホテル並みのサービスをとの理想に燃え、知恵と人脈を駆使して店にお金をかけずに、普通の焼肉店を繁盛店としたサクセスストーリーである。著者が本人であるので、そのノウハウや心がけていることを包み隠さず本書に記している。経営の考え方の神髄を知る意味では良著であろう。

ただし、たむらけんじはどこまでも芸人である。焼肉店からの収入が芸人としても収量うよりもはるかに多いと記しているが、心は芸人であるとはっきりと断っている。したがって、芸能活動に店のPRを主体的に持ち込むことはないと断言している。

経営はヒト、モノ、カネ、情報とはよく言われることであるが、良い人材を集め、良い食材を安価に集め、良い料理を安価に提供するために店には金をかけないよう知恵を絞り、そしてそれらをより磨き抜かれたものとするために情報(人脈)を大切にする。

経営においては人が一番大切と言い切っている。そして、従業員を信じ抜き、従業員の失敗は社長個人の失敗とする。その一方で、たむらけんじ氏は理想を崩さない。描いた理想を実現すべく、社員を厳しく?教育する。その厳しさの中には当然社員自身が自ら誤りを悟り、修正し、そして水平展開していくプロセスも含まれているものと考えられる。

商売の基本を踏み外すことなく、プラスアルファの心遣いでお客様に接し、社員一丸となって社長の理想の会社を作り上げていくところに、炭火焼肉たむらの強みがあると見た。その前提として、時には厳しいことを要求する社長と社員が強いきずなで結ばれていることはもちろんであろう。社長は「オカマの目(心遣い)」と「オカンの目(愛情)」をもって社員に接しているのだから。

オカマの目   お客さんに居心地のいい空間を提供する
オカンの目   お客さんへ「プラス1」のサービスを提供する


書籍「たむらけんじ なぜド素人経営者の焼肉屋は繁盛したのか?」より

p38

たむらけんじ氏の焼肉店にかける思い
 おしゃれな焼肉店にしたい
 でも老若男女にとって敷居の低い店であり続けたい
 個室を増やしたい
 座敷を掘りゴタツにしたい
 豪華なカーペットを敷きたい
 6人席の座敷でもカップル3組が気持よき使えるように、すだれで「割れる」ようにしておきたい
 便所には買ってきたものではなく、備え付けのゴミ箱をつけたい
 厨房をスタッフの望み通りの、使いやすい物にしてあげたい
 1号店に入りきれなかったお客さんをご案内できるようにしたい


p96

自分が受けた素晴らしいサービスに心底感動できれば、おのずと自分も真似したくなる。逆に素晴らしいサービスを受けても「ふーん」くらいにしか思えなければ、そいつは一生他人から何も「盗む」ことができない。成長しない。

感動する才能。スゴい物に出会ったときに心底「スゴい!」と認められる感性。そこからサービスの「学び」と「盗み」が始まるのでしょう。


p159

たむけん流 ド素人経営の十カ条  繁盛哲学
1.日頃から人脈のタネを蒔け!
2.自己投資をしろ!(よく遊び、外から学べ)
3.すぐ電話、すぐ勉強、すぐ行動!(スピード至上主義)
4.「オカマの目」と「オカンの心」を持て!
5.常に「プラス1」のサービスを心掛けよ!
6.明るいコを採用すべし!
7.アイデアと価格を決めたら妥協するな!
8.ラーメン屋には手を出すな!
9.トイレはいつもキレイに!
10.妄想からすべては始まる!














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