安全が十分に管理されているはずの工場で、水素ガスが関係する爆発が、ここ2週間で2件立て続けに発生した。
数年前は水素社会が到来と、新聞各社を始め、報道各社がニュースを大きく取り扱っていたが、最近はその報道は下火となっている。この理由として、
1.水素を高圧(自動車に利用の場合、400〜700気圧)で取り扱う必要があり、安全の確保が必要な事
水素燃料タンクにライフルの弾を撃ち込んでも、びくともしないとの実験があったと思うが。
2.水素を効率的に発生する方法がまだ見いだせていないこと
脱炭素社会を実現するための水素エネルギーであるので、石油や石炭以外に源を求める必要がある
現在は、石油のクラッキングやコークス炉ガスなどより取り出されるが、
将来的には自然エネルギー利用発電で得られた電力を利用して水尾電気分解にならざるを得ないか
3.臭いがないので、漏えいに気付かず大惨事に至る
今回のケースは化学プラントの反応釜内で発生した水素に原因があると考えられるので、
最悪ケースを予測して水素検知センサーを系内に敷設しておく方法もあったのでは
※薄い濃度であれば、水素は空気より軽いので空中高く昇って行ってしまうという話もあるが、
4%程度の濃度で空気に混ざると爆発範囲に入ること、気体の拡散には時間がかかることより、
この意見は暴論であると思われる。
いずれにしても、事故が起こったときは「まさか」の思いが先行する。しかし、事故が起こったことは事実であるので、その「まさか」は時を経ずして「なるほど」に変わっていく。すべての危険要因をあらかじめブレーンストーミング手法等を駆使して消し去るHAZOPなど、事前の安全対策が強く求められるところである。
ましてや、この水素を家庭で用いる場合、非常に低い濃度で爆発範囲に入るので、「ちょっともれた」では済まされない惨事となる。誰もが安全に間違いなく利用できるフェールセーフ機構が来る水素社会には求められる。
毎日jp 1月8日より引用
爆発:横浜の化学工場、8人軽傷 2年前も2人死傷
7日午後5時50分ごろ、横浜市金沢区福浦1の化学メーカー「日本カーリット」横浜工場で爆発が起きた。神奈川県警金沢署と市安全管理局によると、工場内の建物8棟(面積約2229平方メートル)が全壊するか全焼し、同8時15分に鎮火。工場の34〜55歳の従業員6人のほか、別の工場の男性従業員(39)、近くを車で走行中に割れたフロントガラスで右手を切った男性会社員(34)の計8人が軽傷を負った。
◇社長が「おわび」
爆発があった有機製造棟では、高圧反応釜に窒素化合物を入れて水素ガスの圧力をかけ、液晶テレビなどの原料となるアミン系の精製物を作っていたが、爆発時はすでに作業は終了していた。原因を調査中だが、水素爆発の可能性があるという。
YOMOURI ONLINE 1月7日より引用
タンク下部の付着物 原因か…淀川・化学薬品工場爆発
水と反応し水素ガス発生
大阪市淀川区の化学薬品メーカー「森田化学工業」神崎川事業所の工場で先月24日、従業員4人が死亡したタンク爆発事故で、タンク下部にたまった泥状の付着物が爆発を引き起こした可能性が高いことがわかった。大阪府警は、付着物に溶け込んでいた三フッ化ホウ素(NF3)が、タンクに流入した水と反応し可燃性の水素ガスが発生したことが原因とみて、専門機関に付着物の鑑定を依頼、解明を進める。
従業員らは、配管洗浄中にタンクに多量の水が入ってしまったため、排水しようとタンク下部に電動ノコギリで穴を開ける作業中だった。府警は、タンクの溝部分にたまった泥状の付着物から水素が発生、さらに作業で生じた火花で引火し爆発したとみている。
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