229. 普通のデスクトップコンピュータでπを2兆7000億桁まで計算(世界記録) スーパーコンピュータに勝つ

 2010年 1月11日掲載  2014年 4月17日再掲


昨年、筑波大学はスーパーコンピュータを用いて円周率(π)の計算桁数の世界記録を樹立したが、その記録がフランスの技術者によりいとも簡単に打ち破られた。樹立の日付は2009年12月31日(Dec 31 2009)となっているので、同じ年(昨年)に筑波大学の記録は破られたことになる。

πを計算するための計算式として、何通りかの式が知られている(Wikipediaの円周率)が、それらの計算式は非常に単純である。ただし、その計算を行うためには、計算速度の速いCPU(コンピュータ)と計算の中間結果を一時保存しておくための大きなディスク容量が必要であったために、今までは、πの計算にはスーパーコンピュータを使うというのが常識であったのだろう。

今回のフランスにおけるファブリス・ベラールさんの計算成功の理由は、円周率を計算するための効率的な数式と、その数式を解くための効率的なコンピュータアルゴリズムを採用した成果であると思われる。

それにしても2兆7000億桁とはすごいものである。もし、私の計算違いでなければ、数字の幅をなんとか見える大きさの2mmとして計算結果を表記すると、その長さは実に5400000kmとなり、実に地球を135周する長さに匹敵する。



47News 1月11日より引用

仏技術者が円周率計算世界一 通常機器で筑波大記録破る

 【パリ共同】フランス公共ラジオによると、筑波大学計算科学研究センターが昨年8月、スーパーコンピューターで樹立した円周率の計算の世界記録が11日までに、パリ在住の情報処理技術者によって破られた。技術者は通常のコンピューターを使い筑波大の記録より約1230億けた多い、2兆7千億けた近くまで計算したと発表した。

 新記録を発表したのは、デジタルテレビ関連の仕事をしているファブリス・ベラールさん。通常のコンピューターに5個のハードディスクを増設し、主計算と検証計算を含め131日間かけて2兆6999億9999万けたまで計算した。

 筑波大のスーパーコンピューター「T2K筑波システム」が当時の新記録2兆5769億8037万けたを計算するのにかかった時間は、両計算を合わせて73時間36分。

 ベラールさんは「筑波大の機器は、私のものより計算速度が2千倍近く速い」と認めた上で「これまでスーパーコンピューターが樹立してきた記録を2千ユーロ(約27万円)弱のコンピューターが破った点に意味がある」と語った。

 ベラールさんの計算についてはhttp://bellard.org/で公開されている。

2010/01/11 21:00 【共同通信】




http://bellard.org

Pi Formulas, Algorithms and Computations
Pi Computation
(Dec 31 2009)
2700 billion decimal digits of Pi computed with a desktop computer (World Record).
デスクトップコンピュータで計算した10進数で2700000000000桁のπ(世界記録)

Formulas and Algorithms
(Jan 20 1997)
A new and faster formula to compute the n'th binary digit of Pi. The article (Jan 20 1997) in html or in PDF pi_bin.pdf (revised edition, Feb 2007). A systematic way to find similar formulas is presented here.



(Jan 10 1997)
Simon Plouffe has found an algorithm to compute the n'th digit of Pi in any base in O(n^3log(n)^3) with little memory. We give here an improvement of his algorithm to get a speed of O(n^2). The postscript file of the alpha version of the article: pi_n2.ps , the html version, and the corresponding implementation in C: pi.c . (Feb 27 1997) A faster implementation which uses the Gosper formula : pi1.c .


(Feb 4 1997)
While testing some numerical relations with the PSLQ algorithm , I found this exotic formula for Pi:



with




(Aug 2003)Boris Gourevitch and Jesus Guillera show how to demonstrate similar formulas.



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