235. 地球近傍小惑星の脅威 多くの小惑星や正体不明物質が地球に接近している

 2010年 1月14日掲載  2014年 4月17日再掲


すでに無事に通過したが、日本時間の12日午後9時に10~15mの大きさの小惑星と思しき物体が、地球に接近したとのニュースである。

1月4日にも約20年後に地球に衝突するかもしれない小惑星を、ロシアがその衝突の危機から地球を守ろうとする計画が伝えられたばかりである。この直径270mの小惑星でも、地球にぶつかる確率はまだ定かではない。これは、小惑星軌道の観測の正確さと、多くの星々の引力がその小惑星に作用する多体問題をシミュレーションで解析しなければならないところに、予測の難しさがある。

神戸に新設される次世代スーパーコンピュータがこの解析に一役買うようなことになれば、日本の技術レベルと世界への貢献が認められることになるだろう。



asahi.com 1月13日

正体不明の物体、地球に接近中 月より近くを通過へ

 【ワシントン=勝田敏彦】米航空宇宙局(NASA)は12日、正体不明の物体が米東部時間13日午前7時46分(日本時間同日午後9時46分)、地球に約12万キロ(月までの距離の約3分の1)まで最接近すると発表した。

 発表によると、この物体は10日、マサチューセッツ工科大の観測で見つかったばかり。物体の公転周期が地球とほぼ同じの1年だったため、当初はロケットの残骸(ざんがい)と考えられたが、軌道の分析から、10~15メートルの小惑星と考えたほうがよいという。

 NASAによると、これぐらいの大きさの小惑星が月の距離より近いところを通過するのは1週間に1度ぐらい起きるという。




asahi.com 1月4日

小惑星と地球の衝突防げ ロシア、ロケット打ち上げ検討

 約20年後に地球に接近する小惑星が、万が一にも地球に衝突しないように小惑星の軌道を変えるため、ロシア宇宙庁がロケットの打ち上げを検討していることがわかった。AP通信が伝えた。実現すれば、小惑星衝突から地球を救う映画のような話が行われることになる。

 問題の小惑星は2004年に発見された直径約270メートルのアポフィス。米航空宇宙局(NASA)の09年の計算によると、29年4月に静止衛星の軌道より地球に近い約3万キロを通過。36年には25万分の1という非常に低い確率だが、衝突の可能性がある。

 同宇宙庁のアナトリー・ペルミノフ長官はロシアのラジオ局に「地球に接近し、衝突の可能性があると聞く。特別な宇宙船で衝突回避が可能だ」と述べた。近く、NASAや欧州宇宙機関、中国国家航天局の担当者を招いた会議を計画している。

 衝突を避けるため、宇宙船をぶつけるなどで軌道を変えることが考えられる。米映画「アルマゲドン」では小惑星を核兵器で破壊して衝突を避けようとするが、ペルミノフ長官は「核兵器は使わない」としている。

 米科学アカデミーによると、直径140メートル以上の小惑星が都市や周辺に落下すると、住民や生態系に深刻な影響が出ると考えられている。




地球近傍小惑星の脅威(Wikipedia)

白亜紀の終わりの地層に発見されたK-T境界(白亜紀 - 第三紀境界層)は、巨大な彗星か隕石の衝突によってもたらされたことがわかって来たが、その元として地球近傍小惑星の存在が浮上してきた。

天体の地球への衝突の脅威は、1994年7月16日のシューメーカー・レヴィ第9彗星の木星への衝突により広く知られるようになった。木星へは、地球以上に多くの天体が衝突していると考えられている。

直径1kmほどの小惑星の地球への衝突は100万年に数回、5kmほどの小惑星の衝突は1000万年毎、小天体の衝突は毎月2、3回起こっていると考えられている。

これまでに数回間違った警報が出ているが、多くの小惑星が地球に衝突する危険性があることが知られている。2002年4月、NASAはアポロ群の小惑星 (29075) 1950 DA(直径1km)が2880年3月16日に0.3%の確率で地球に衝突すると発表した。この確率は他の小惑星の危険性の1,000倍に当たる。

2004年には、これまでの地球接近記録を更新する2個の小惑星が発見された。3月18日にアテン群の小惑星2004 FH(直径30m)が地球の表面からの距離4万2740kmまで接近し、3月31日には同じくアテン群の2004 FU162(直径6m)が同6350Kmまで接近した。

2006年7月3日には、2004 XP14が地球から約42万kmの位置を通過した。

2008年10月7日には、2008 TC3が発見からわずか一日で大気圏に突入し、スーダン上空での爆発が人工衛星から確認された。

このように、地球近傍小惑星はその軌道によっては地球に衝突する可能性も考えられる。小さな小惑星の衝突でも甚大な被害が予測されることから、これらの小惑星を発見し監視するためのプロジェクトが世界各地で行われている。


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