仕事上のトラブルはいつ発生するかわからない。トラブルを想定してその対処方法を考え訓練を繰り返していてもトラブルは起こる。
日常、種々のトラブルが発生するが、たとえば品質上のトラブルにおいては次のようになる。
品質検査においてスペックアウトを取り除く方法において、サンプル抜き取りによる方法では製品中に確率的にスペックアウト品が混ざりこむことになる。また、全数検査の場合にも検査での見過ごしがあると製品にスペックアウト品が混ざりこむことになる。
基本的にはスペックアウト品が製品に混ざりこむことは好ましくないことである。ユーザーもしくは消費者において、明らかにスペック品(スペックで管理されている製品)であることが分かればその影響は狭い範囲で収まる可能性が高い。この場合のスペックアウトの原因は、非常に分かりやすく、原因も明白である場合が多い。また、スペックアウトが生じた生産ロットも解っている場合が多いので、他の出荷先への速やかな対処も可能となる。
一番厄介なのは、わかりにくい原因で生じたスペックアウトである。先のトラブル想定に入っていないトラブルが発生したときにはその原因が分かりにくい。また、トラブルが発生していることが早い機会に解れば傷は浅くて済むが、時間がたってからトラブルが表面化するとメーカーとユーザー(消費者)の双方にとって被害は甚大となる。
しかし、一般的に起こるトラブルは事前に想定できるトラブルが主である。トラブルの発生件数を発生原因別に、多いほうから順番に並べると(ABC分析)、発生件数のうちの9割以上は事前に想定できる原因により発生したトラブルで、おそらくは残り1割に満たないトラブルが従来想定していなかった原因により発生したトラブルである。
ABC分析の結果、発生頻度の多いトラブルAは即刻に対処、トラブルBはその重要度を見て対処と順次モグラたたきを続けていくと品質のスペックアウトやそれに端を発するトラブルは減少していく。
もう一つ注目すべきはトラブル発生の頻度である。ハインリッヒの法則によると300件のヒヤリ・ハットがあればそれに加えて表面化する事故が30件あり、そのうちの1件は重大事故であるといわれている。トラブルに関しても同じことが言える。スペックアウトに近い数値が多く現れるようであればそれを素早く察知し、品質を安定化させる対策を講じる必要がある。最近はスペックアウトに近い製品が増えているというのは危険信号である。
想定できる範囲のトラブルの発生を食い止めることができれば、当社製品に対する消費者の信頼を格段に向上させることができる。
品質トラブル以外にも、誤配送というトラブルもある。これはお客様に間違った製品を送った、配送場所を間違えた、配送日を間違えたなどである。
以上の事柄にまとめて対処するためには、5W2Hが有効であると考える。
誰が Who
いつ When
どこで Where
何を What
どうする How
なぜ? Why
いくらで How Much
である。それぞれのトラブル原因について責任を持って対処していく仕組みが重要となる。また、この5W2Hはトラブルへの対処法だけではなく、トラブルを発生させない方法としても有効である。各仕事に対して5W2Hを確実に実施できる体制を整えれば、それだけでトラブルの発生要因を減らすことができる。
それでもトラブルが起こってしまった場合には、すぐに、真摯に、逃げることなく、誠意をもって対処することである。初期対応を誤ると問題がこじれて複雑になる。トラブルへの対応が適切になされた場合は、そのトラブルは帳消しとなり、さらに以前にもまして信頼性が向上する可能性もある。人と人との関係は、一時の損得勘定を超えた信頼で結びついているのだから。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|