294. 全国高校化学グランプリ2010の参加者が募集される 科学離れと言われるが化学分野は力強いと感じられ

 2010年 5月 4日掲載  2014年 4月28日再掲


日本化学会発行の会誌「化学と工業」が手元に届いた。その中に厚手の紙でできた8ページものの冊子が1つ入っている。そのタイトルは「全国高校化学グランプリ」。毎年、日本化学会が主催している、化学の甲子園大会だ。

この大会で優秀な成績を収めると、次は世界大会の化学オリンピックへと進むことになる。

内容は、大学の教養課程を終えた程度か。高校1年生や2年生にとってはハイレベルの内容となる。普段から、中学や高校の実験室で化学を趣味?としてきた生徒が挑戦するものと考えられる。

機械や電気製品などはその原理がはっきりしていて、設計図さえあればそれを工作や組み立てる機械が調達できれば製品が作れることになる。いま、中国や台湾がその方面で台頭している理由の一つとして、CADで作成した設計図さえあれば、そこからIT(情報処理)を組み込んだ機械が実用に耐える製品を作ってくれることにある。機械を購入すれば、製品を作り上げるノウハウが付いてくるので、あとは安い労働力というわけである。

一方、化学は、化学嫌いの方が多くいるように、理屈はあるが発明につなげようとすると個々人の感性によるところが大きくなる。一種の芸術と言ってもよいのではなかろうか。そして、芸術であるから、培われた技は頭脳流出が無い限りそう簡単には海外に流出しない。これからの日本のお家芸となる素地を含んでいる。

この化学グランプリに実に多くの高校生が挑戦するのは実に頼もしい限りである。出場者数(申込者数ではなく実際に参加した生徒の数)は、そのホームページによると次のように増加していっている。

     2009年度    3078人
     2008年度    2105人
     2007年度    2009人
     2006年度    1318人
     2005年度    1193人
     2004年度    1201人
     2003年度    1138人

そして、特別賞、金賞、銀賞、銅賞受賞者が先のホームページ上で報告される。特別賞受賞者は次のようになっている。

2009年度


2008年度


2007年度


2006年度


2005年度


2004年度


2003年度



この全国高校化学グランプリは国際化学オリンピックへの選考も兼ねている。そして、国際化学オリンピックでの日本の成績はこちらに示されている。


開催年月日 回数(主催国HPへリンク) 開催都市/開催国 優秀賞
2009.07.18-27 41st IChO ケンブリッジ イギリス 2 1 1 -
2008.07.12-21 40th IChO ブタペスト ハンガリー - - 4 -
2007.07.15-24 39th IChO モスクワ ロシア連邦 - - 4 -
2006.07.02-11 38th
IChO
慶山 韓国 1 3 - -
2005.07.16-25 37th IChO 台北 台湾 - 1 3 -
2004.07.18-27 36th IChO キール ドイツ 1 - 3 -
2003.07.05-14 35th IChO アテネ ギリシャ - - 2 2
2002.07.05-14 34th IChO フローニンゲン オランダ - - - -



白陵、甲陽、灘、神戸女学院と兵庫県勢が活躍しているのもうれしいが、日本の化学の次世代を継ぐ人材が増えていっていることはもっと嬉しい。




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