296. マイクロバブルが酒や饅頭のうまみを増す その不思議

 2010年 5月 6日掲載  2014年 4月28日再掲


従来の匠の技術と、最先端マイクロバブルの結びつきで、食品に新しい効果が表れる。これらの効果は、最初から予測できるものではなく、実際に試してみてその効果を確認するという地道な試験が必要となる。特に、酒造業のように年一回の仕込みにこの技術を試すには、リスクも大きく、その実施には大きな勇気を有する。

酒がマイルドになったということは、超微粒となった酸素気泡が酒のなかの刺激味を有効につぶすということではないかと想像できる。酸素のマイクロバブルは水中で崩壊するときに、光を発し、超音波も発生するとも言われている。反応温度にするとこの崩壊の瞬間に、反応温度で数万度ともなる反応の場が与えられ、酸素(O2)がオゾン(O3)へと変化し、それが酒の中の有機物と反応したものと考えられる。

     3O2(酸素) → 2O3(オゾン)

今後、ともかく試してみることで、さらに応用の範囲が広がるのではないかと期待している。



Asahi.com 4月27日

マイクロバブル 味な活用法

◆酒・まんじゅう うまさ増す?
  徳山高専の大成博文教授によって発生装置が開発された、超微細な気泡「マイクロバブル」。当初は生物を活性化させる効果が注目され、カキなど水産養殖に使われた。開発から15年を経て、今では日本酒やまんじゅうづくりにもマイクロバブルを使う業者が出てきた。幅広い応用が進んでいる食品産業の現場を訪ねた。


村重酒造(岩国市御庄) 発生装置を導入して造った「金冠黒松 大吟醸『錦』」は全国酒類コンクールで2年連続の1位に輝いた。大吟醸酒を造る際、絞る前に加えるアルコールにマイクロバブルを発生させ、空気中の酸素をとけ込ませる。これによって熟成が促進され、アルコール特有のぴりぴりした味がなめらかになったという。

もみじまんじゅう製造販売元、岩村もみじ屋でもマイクロバブル発生装置を通した水であんこや生地を作っている。「生地がしっとりしている、というお客さんが多い。

大成教授は「最近の研究でマイクロバブルの生物活性は、窒素を水に多く溶け込ませることができるからではないか、とわかってきた。今では健康・医療、農業、環境など各分野に応用が始まっており、無限の可能性を持つ未来材料といえる」と話している。


■ マイクロバブル ■
  超微細な気泡で、発生時の直径は10〜数十マイクロメートル。1995年に発生装置が開発された。発生後に収縮し、さらに小さいマイクロナノバブル(直径10マイクロメートル〜数百ナノメートル)になり、最後には消滅する。表面がマイナスに帯電しており、収縮過程で自ら発光する。




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