326. レイプ事件の実数 30代女性の被害率12% と裁判員裁判の意義  レイプへの歯止め効果はあるか

 2010年 5月24日掲載  2014年 5月 5日再掲


レイプ被害のなんと多いことか。びっくりである。表面に出てきただけでもこれだけの割合であるから、表に出てこないレープ事件を加えるとかなりの割合になるのではないだろうか。

社会実情データ図録の見出しにも次のように書かれている。

 30代女性のレイプ被害経験率は12.1%と女性全体の被害経験率7.3%を大きく上回ることからレイプ被害はかつてより多くなったと推定される。

非力な女性を暴力で襲う。それも自分の満足を満たすため。この自分本位の犯罪が、裁判員裁判で争われ、従来より重い刑が言い渡されている。裁判所は、被害者のプライバシーが漏れない工夫をしている。

裁判員裁判も実施1年を迎えた。ただ、この裁判で争われているレイプ事件は、実際の数からすると氷山の一角にすぎない。仮に、20代、30代の女性人口約1600万人の10%がレイプ被害を受けたことがあり、この1年以内の被害を受けた女性の割合が仮にその中の3%であったとると、被害者数は年間約50000人となる。

犯罪白書の性犯罪の概況(平成18年)によると、年間の被害者数(届出数)は約2000人であるから、被害に遭って実際に届け出ているのは25人に1人くらいと極端に小さな値となる。。裁判員裁判で、プライバシーが守られ、隣人にも裁判の事実が知られることが無いようになれば、女性の傷ついた心はいやせないまでも、続いて起こるレイプ事件を減少させる効果は大いにあると考える。

本質を言うと、日本には今こそ道徳という言葉が必要となった。



裁判員制度1年・市民の判断は:/3 性犯罪事件とプライバシー
 検察が証拠として提出した写真には、無邪気な6歳の女児が写っていた。東京地裁で3月にあった強制わいせつ致傷事件の裁判。「こんな幼い子が……。ショックだった」。30代の女性裁判員は顔を曇らせた。
 被告の男(62)に対する判決は懲役6年(求刑・懲役7年)。評議では過去の量刑データも示された。女性裁判員は「今までならもっと軽かった。判例を飛び越えた感じがした」と振り返る。しかし、女児の両親の心情を思うと複雑だ。被害者参加制度で出廷した両親の弁護士は懲役10年を求めていた。


裁判員裁判:強姦致傷罪、懲役8年の実刑判決--地裁 /奈良
 女性に性的暴行をしてけがをさせたとして強姦(ごうかん)致傷罪などに問われた滋賀県東近江市、外装工、増崎久範被告(23)の裁判員裁判の判決公判が21日、奈良地裁であった。橋本一裁判長は「被害者を自らのストレスのはけ口にした。被害者の恐怖感や屈辱感は計り知れない」として、懲役8年(求刑・同9年)を言い渡した。


裁判員裁判:県内初性犯罪 裁判長「二度としないで」 /神奈川
 ◇裁判員、被告を「信じたい」
 県内初となる性犯罪事件の裁判員裁判で、横浜地裁は14日、4人の女性に性的暴行などを加えたとして、強盗強姦(ごうかん)などの罪に問われた元病院事務アルバイト、新谷大和被告(35)に懲役23年(求刑・懲役25年)を言い渡した。被告が性犯罪防止プログラムを受けていたさなかの事件。朝山芳史裁判長は「もう二度と起こさないように」と諭し、裁判員を務めた男性も「信じたい」と言葉少なく語った。


社会実情データ図録 5月13日より








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