338. 米国のMBA制度は厳しいが実りが多い 方や日本にはMBAを受け入れる土壌がまだ育っていない

 2010年 6月10日掲載  2014年 5月 5日再掲


米国は、労働移動が比較的自由な国である。実力をつけさえすれば成功の階段を上っていくことができる。働いてお金をため、学校に入りなおすという話をよく聞く。

その典型がMBAだろう。実践的な経営学を、2年間の集中訓練で身につける。日本の大学のように生易しくはないだろう。過去の事実の積み重ねの上に、自分の考えを加えてディベートを繰り返し、その経験を知識と知恵として身につけていく。

日本の最高ランクの試験である司法試験のように、合格しても就職先が無いとか、あるいは、日本の最高学歴のように、ドクター(PhD)をとっても就職先が無いなどということは、非常に不幸な実態である。

高いお金と時間(社会資本)をつぎ込んで養成した人材が全く生かせない社会。この問題を解決することができなければ、日本の社会は低空飛行を続けることになる。



日経ビジネス 6月10日 抜粋

毎年、万単位のMBAホルダーを輩出する米国
ハーバードだけで年間900人のMBAホルダー

 米国では「経営のプロ」が企業に積極活用され、また「経営のプロ」マーケットが巨大である。

 MBAでは、徹底した“経営の基礎知識”と“リーダーシップ”を、極めて効率よく2年間で学べる。
 経営者にはMBA取得者が多い。

 学生たちは、そうしたクラスを通じて、実践の厳しさを突き付けられ、意思決定の難しさをリアルに感じさせられるのである。


 トップ36校で年間2万人を超える規模のMBA。ハーバード大学のビジネススクールの卒業生は、実に年間900人にも及ぶ。

 ハーバードを例に取れば、ビジネススクールが始まって100周年を迎えている。過去30年と捉えても、トップスクールだけで50万人規模のMBAホルダーを輩出していたことになる。

卒業生の6割が参加していた「同窓会」
 ハーバード卒業10周年で同窓会に参加した。同窓会は5年ごとに開かれ、卒業5周年から卒業60周年くらいまでの人が一堂に会する。例えば私の代だと、卒業生の約6割が参加している。同窓会の会期中は、2日間、卒業生向けに多くの授業が開講される。


企業がMBAを受け入れる仕組みがある
 そして、もうひとつ、米国が「経営のプロ」をこれほど輩出できているのは、こうして大学から送り出された経営エリートたちを、企業が受け入れる仕組みがあることである。

 米国では、MBAホルダーを幹部候補生として迎え入れる企業が多いのだ。日本からは企業派遣が多いMBAだが、アメリカ人は多くが一度、勤務していた会社を退職してビジネススクールに通う。しかも、言うまでもなく費用は自腹だ(このあたり、日本企業の社費派遣とは腹のくくり方が違うのだが)。

 なぜ20代後半、30代の前半の貴重な2年間を犠牲にしてまで、ビジネススクールに通おうとするのかといえば、MBAを取得すれば、企業の受け入れ待遇が全く違うからである。




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