390. 治る認知症(突発性正常圧水頭症)もある この分野の治療法は進化中

 2010年10月22日掲載  2014年 5月 5日再掲


治る認知症(痴呆症)もある この分野の治療法は進化中 NHK特集番組が10月31日に放送される

 作成 2010年10月22日




老人の認知症(痴呆症)は治らない病と考えられてきました。しかし、NHKの朝7時のニュースの中で、なかには治る認知症患者もいるとの報道が、ほとんど完治した90歳の老人(男性)を例に紹介されました。

この老人は、痴呆症の症状を呈し、さらに歩行が困難(ゆっくりとは歩けるが歩幅が狭い)という症状を呈しました。日常のことが全くできなくなり、それを見かねた長男が病院を探し回り、その結果、認知症が発生している原因がわかった。そして、簡単な手術の結果、自分でトラクターを操作して農作業ができるまでに回復したという話です。

私自身、痴呆症は治らない病と思っていましたので、このニュースは驚きでした。紹介された症例は「正常圧水頭症」。下にURLよりその内容を引用しています。

ニューその中で紹介されていた専門の学会は、日本精神老齢医学会と日本認知症学会でした。こちらも関連するURLを示しました。

そして、認知症に関するNHKの特集番組が10月31日に予定されています。必見の番組です。



認知症を直せ
2010年10月31日(日) 午後9時00分~9時49分 総合テレビ

記憶力、判断力、そして意識…、かけがえのないものを次々と奪っていく認知症。

国内の患者数は200万人を超え、今後更に急増すると言われている。これまで認知症は発病すると治癒させることも症状の悪化を遅らせることも、ほとんど出来ないと思われてきた。

ところが、認知症には様々な原因があり、治せるものや症状の進行が抑えられるものがあることが判って来た。患者数が最も多いアルツハイマー病についても、治療や予防につながると期待される成果が相次いでいる。新たな検査法の開発により、発症する10年以上も前から脳に変化が起き始めていることが捉えられるようになってきたのだ。そのため超早期診断による「先制医療」が期待され始めている。

番組では、認知症の治療や予防に挑む現場にカメラを入れ、その最前線を見つめる。



日本老年精神医学会(Wikipedia)

老年精神医学に関する分野の科学的研究の進歩・発展・普及を図ることを目的として1988年に設立された。理事長は新井平伊(順天堂大学医学部精神医学教室教授)。

事務局を東京都新宿区神楽坂4-1-1 オザワビル2F(株)ワールドプランニング内に置いている。



日本認知症学会 ホームページ

1982年に設立され,2005年に現在の名称に変更いたしました.認知症に関連する臨床および基礎の諸分野の科学的研究の進歩発展をはかり,その成果を社会に還元することを目的として,学術集会開催,学会誌発行等を行っています.



正常圧水頭症

1. はじめに
わが国における認知症(痴呆)患者は現在約250万人に迫るとされ、今後更に増え続けるといわれております。どのような原因にしろ、「認知症になると徐々に進行し一生治らない」と思われがちですが、じつは手術で治療可能な認知症があります。その一つである最近世界的に特に注目されている「特発性正常圧水頭症」について説明します。

精神活動の低下(痴呆症状)、歩行障害、尿失禁を呈する高齢者のうち、著明な脳室拡大を認めるにもかかわらず、腰椎穿刺で測定した脳脊髄圧は200mmH2O以下と正常範囲であり、しかし、髄液短絡術(シャント手術)を行うと上記の症状が著明に改善する患者さんがいます。このような患者さんを、正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus、以下NPHと略す)と呼びます。

(中略)

6. 治療法



iNPHの治療では、髄液の流れをよくする「髄液シャント術」と呼ばれる手術が行われます。これは、流れの悪くなった髄液通路の替わりにカテーテル(管)を体内に埋め込み、そこから脳室に過剰にたまっていた髄液を排除することによって、脳室のサイズを元に戻し、脳の機能を正常化させる治療法です。

髄液シャント術の方法には、(1)脳室-腹腔シャント、(2)脳室-心房シャント、(3)腰椎-腹腔シャント(上図参照)があり、わが国においては、脳室-腹腔シャントがいちばん多く行われています。頭蓋骨に小さな穴をあけ、脳室から腹腔までカテーテルを挿入する脳室-腹腔シャント術は一見すると大手術のように思えますが、脳外科分野の中でも比較的かんたんで安全な手術で、30分~1時間程度で終了するものです。ただし、シャント手術が有効な患者さんであっても、発病から長期間経過してしまうと、治療効果を期待することは難しいとされています。症状の改善を得るためには、ある一定量の髄液を排出させる必要がありますが、髄液の排出が過剰になると硬膜下水腫や血腫が発生します。このような合併症を防ぐために、最近では体外から磁石を使って圧を変更することができる圧可変式バブルや、より積極的に髄液の過剰排泄を防止する抗サイフォン機構付きのバルブなどを用いることが多くなっています。

つづく



正常圧水頭症の推定患者数は31万人。早い発見と早い治療が望まれると。
10分の簡単な処置の後、2泊3日でまずは正常圧水頭症であるかの見極め。
L-Pシャント術は脳にメスを入れない手術法。
施術可能な病院が本書(K-Pシャント術の開発者が監修、本年6月出版)に紹介されている。







突発性正常圧水頭症 痴呆症の原因の一つ 症状は、歩行障害、認知症、尿失禁 簡単な手術で治る可能性あり

  作成 2010年11月1日

昨日9時からのNHK総合テレビの番組は、常識として治るはずがないと思い込んでいる認知症が回復する事例が紹介された。以下に示す突発性正常圧水頭症は1時間の手術により大きく回復した。また、アルツハイマー病もその発症の原因が明らかになっているので、それに対応した医薬品の開発が急であり、ある程度の成果を収めている。

Quality of Life(QOL)、年とっても健康ではつらつとした生活でないと、域外につながらないし、また、周りの家族にも介護等を強いることになる。その原因となっている、認知症にも医学のメスが入れられつつあるとの明るいニュース(番組)であった。

以下に、突発性正常圧水頭症に関連するURLのいくつかを引用した。


なお、再放送は

2010年11月23日(火)  午前9時00分~9時49分 総合 ※近畿ブロックは放送はありません
認知症を治せ! 初回放送 2010年10月31日(日) NHK総合テレビ




認知症の症状と予防 突発性正常圧水頭症(iNPH)

突発性正常圧水頭症(iNPH)…あまり聞いたことのない病名です。

突発性正常圧水頭症(iNPH)の主な症状は、歩行障害・認知症・尿失禁、これら症状を三兆候と呼んでいます

最近になって
•歩きにくくなった…
•認知症状が強くなった…
もう年だから致し方ない、年だからもう治らないとあきらめてしまっている方、多いのではありませんか。
高齢になると筋力も落ちてきますし、足もとがふらついたり、歩くこと自体がうまくできなかったりということが起きやすくなります。これらの症状は、加齢によるものももちろんありますが、はっきりした理由がないにもかかわらず、うまく歩けなくなってきて、認知症や尿失禁といった症状が出てくる場合があります。

そのような時は、突発性正常圧水頭症(iNPH)の可能性があります。この病気は、適切な診断と治療を施すことにより、歩行障害や認知症状を改善することができるのです。結果として、介護の負担軽減や、患者自身のQOL(クォリティ・オブ・ライフ:生活の質)の向上が可能となります。

こちらのサイトで、お住まいの地域で特発性正常圧水頭症(iNPH)に取り組んでいる医療機関を調べることができます。




QLifeSQUARE
歩行障害、認知障害、尿失禁
もしかしたら、特発性正常圧水頭症(iNPH)という病気かも



正常圧水頭症の推定患者数は31万人。早い発見と早い治療が望まれると。
10分の簡単な処置の後、2泊3日でまずは正常圧水頭症であるかの見極め。
L-Pシャント術は脳にメスを入れない手術法。
施術可能な病院が本書(K-Pシャント術の開発者が監修、本年6月出版)に紹介されている。




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