393. 松平健さんの奥様を襲った病気「パニック障害」とは何か? これは誰でもかかる可能性のある現代病?

 2010年11月20日掲載  2014年 5月 5日再掲


松平健さんの奥様がパニック障害が原因で亡くなられたとの記事がここ数日ニュースとして大きく取り上げられた。奥様も元女優ということで、少しくらいのストレスには十分耐えられる精神力を持っていらっしゃったと考えられるが、現代社会においては、その限界を超えるストレスが身の回りに満ちているということかもしれない。

Googleニュースで「パニック障害」を検索すると、さらにもう1件、中学生の自殺に関する記事が見つかる。この少年も、原因は記されていないがパニック障害を発症していたようだ。

私が、社員30名の会社に勤務していた時に、勝ち気で活発な女子社員がいた。言葉はきついが責任感があり、好感が持てる人であった。その会社で品物を取り違えて客先に納めるという事件が起こった。その主な原因は非常に似通った名前の製品があること(1字違い)、納品にあたってのチェック機能がなかったことである。この事件は彼女とは直接関係なかったが、彼女の部署で起こり、その部署で年長者であったこともあり、責任を感じたようである。

「会社のシステムの問題であるから、責任を感じることはない」と言葉をかけてはいたが、快活感が消え、数か月後に会社を辞めると聞いた時にはびっくりした。その時に直接聞いた言葉が「パニック障害で会社に来られない」であった。

最近、私の周りにも、このパニック障害を含め、うつ病の人の数も急に多くなったように感じている。高度成長の時代、私も毎日夜の10時ごろまで残って仕事をしていたが、その忙しさの中で誰も心を病む人はいなかった。

今は、会社が、夕方の5時になると「帰宅しろ」と社内放送で指示を出す。年間有給休暇は残さずに使うように指導する。昔は「時間も金もない」と叫んでいたのが、近頃では「多くの時間と贅沢をしなければそれなりの金がある」状況である。それでも心を病む人が多くなった。

心の持ちようは人それぞれで推し量るすべもないが、生活環境は昔に比べると大きく改善されていることは間違いない。ただし、人と人との関わり合いは、昔と比較すると疎になったことは否定できず、現代の心の病の根源はここにあるのではと感じるところである。「人間」は人の間で生きていくとはよく言ったものである。



スポニチ 11月18日
まじめな性格、体質、母の死…友里子さんは「悪い要因重なった」

 3年前からパニック障害などに苦しみ、15日に自ら命を絶った松平健(56)の妻で、元女優の松本友里(本名鈴木友里子)さん。精神科医の和田秀樹氏によると「今回の友里子さんほど悪い要因が重なったケースはなかなかない」という。

 1つは性格要因で、まじめで完全主義の人は98点とっても2点だめだと思ってしまう。

 2つ目は体質要因。パニック障害とうつ症状は同じ脳内物質の欠乏とみられており、パニック障害だったということはうつになりやすい」と分析。

 3つ目は、母親が亡くなり病状悪化のきっかけが発生してしまったことで「対象喪失はうつの大きな要因。加えて自分の介護が行き届かなかったせいで亡くなったのではという罪悪感を持つこともある。献身的に介護をすればするほど亡くなった後の“荷下ろし”がうまくいかない場合がある」という。

 松平が「良い医師にめぐりあえなかった」と挙げている点も「現代は精神疾患の人が増えすぎて、良いと言われる医者ほど患者の話を聞く時間がとれなくなっている」と指摘した。




産経ニュース 11月16日
少年が焼身自殺か 兵庫・加古川の公園で 焼身自殺は中3男子と確認、パニック障害で通院 兵庫


 16日午後7時10分ごろ、兵庫県加古川市上荘町国包、くにかね公園の公衆便所が燃えているのを、近くを通りかかった会社員の男性(56)が気付き、119番した。男性が消火しようと公衆便所に近づいたところ、便所の外で少年が座った状態で燃えているのを見つけた。少年は病院に搬送されたが、全身にやけどを負っており、間もなく死亡が確認された。

 加古川署によると、駆けつけた消防隊員の問いかけに、少年は「自分でかぶった」と答え、「自殺」「15歳」とも話したという。同署は少年の身元確認を急ぐとともに、油のようなものをかぶって焼身自殺したとみて調べている。



パニック障害(Wikipedia)

主な症状
定型的なパニック障害は、突然生じる「パニック発作」によって始まる。続いてその発作が再発するのではないかと恐れる「予期不安」と、それに伴う症状の慢性化が生じる。さらに長期化するにつれて、症状が生じた時に逃れられない場面を回避して、生活範囲を限定する「広場恐怖症」が生じてくる。

パニック発作
パニック障害患者は、日常生活にストレスを溜め込みやすい環境で暮らしていることが多く、発作は、満員電車などの人が混雑している閉鎖的な狭い空間、車道や広場などを歩行中に突然、強いストレスを覚え、動悸、息切れ、めまいなどの自律神経症状と空間認知(空間等の情報を収集する力)による強烈な不安感に襲われる。症状や度合は、患者によって様々だが軽度と重度症状がある。しかし軽・重度患者ともに発作が表れる時に感じる心理的(空間認知など)印象としては、同じような傾向が見られ、漠然とした不安と空間の圧迫感や動悸、呼吸困難等でパニックに陥り、「倒れて死ぬのではないか?」などの恐怖感を覚える人が少なくない。先に挙げた自律神経症状以外にも手足のしびれやけいれん、吐き気、胸部圧迫のような息苦しさなどがある。患者は、これらの症状に非常に困惑し、回避しようと行動に移そうとするが、かえって逆効果となりその場から動くことができず、うずくまったまま(気絶してしまうこともある)救急搬送・受診をすることも多い。しかも、これらの症状は、特別な処置がなくとも、しばらく安静に過ごしていれば多くは1時間以内に、長くとも数時間のうちに回復する。これが「パニック発作」である。パニック発作は、それ自体が生命身体に危険を及ぼすものではない。




文書リストに戻る ホームに戻る