平成29年度 技術士一次試験 基礎科目 解答 技術士一次試験の目次一覧に戻る 書籍 技術士一次試験 基礎科目を極める(2022年版) 平成16年度~令和3年度 基礎科目の解答を収録 平成29年10月8日に実施された一次試験問題が公開となったので、その解答を作成し、公開する。 問題には非常にやさしいものから少し難解なものまで混在している。人それぞれに得意分野があり、どの問題が真に難しいなどということは一概に言えるものではないが、私の判断を許していただくと、その難易度は次のようになる。 H29年度問題の難易度と特徴 色塗りカラムは難問であることを示す 赤色文字は過去出題問題と同じを示す
難易度が高いと判断したものが9問、過去問と同じが14問の出題となっている。 Ⅰ-1-5 製図(図面)の描き方ルール。知っていなければ解けません Ⅰ-1-6 地震により家屋が破壊される確率を求める。新規問題 Ⅰ-3-2 ベクトルの基本知識を確認する。新規問題 Ⅰー3-3 有限要素法の基本であるが、計算の基礎概念の習熟が必要 Ⅰ-3-4 電気抵抗を発想の豊かさで算出する。新規問題 Ⅰ-4-2 モル沸点上昇は無機塩が電離した場合にはどうなる? Ⅰ-4-3 結晶構造に関する知識。知っていなければ解けない問題 Ⅰ-4-6 その道に習熟していなければ解けない遺伝子組み換え技術 Ⅰ-5-2 深く理解していなければ答えが出ないパリ協定 Ⅰ-5-4 細部を知っていなければ解けないエネルギー消費の統計問題 過去問を見ても、30問中の20問は比較的容易に解くことができるが、残る10問は少し難易度が上げてあったり、その解答のためになんらかの工夫を要したりする。この比較的容易な20問を一目で見分ける力を養うこと、これがこの試験に合格するコツである。そこであえて、出題を難と易に分類した次第である。 以下に、平成29年度の問題の解答を記していくが、その多くが過去問より出題されている、あるいは過去問に目を通していさえすれば解ける問題であることが分かる。過去問に目を通し理解しておくこと、これが出題された問題が難であるか易であるかを見極める目を養う最良の方法でもある。 本問題を解くにあたって、技術士一次試験 基礎科目 解答(H16年~28年)(アルケミストの小部屋)より多くを引用した。これは、過去に出題されたと同じ問題が出題されていたり、関連する問題が出題されているためである。理解を深めるためにも必要に応じて引用元を参照願いたい。引用の場合には、過去問・グループ名と断っている(Ⅰ~Ⅴ群にそれぞれA~Eと記号を付っている)。その参照先には、引用した内容以外にも深く関連する項目をまとめて記述しているので、受験勉強には役立つことと思う。 なお、本ページには解答のみを記すが、問題はH29年度出題問題(日本技術士会のホームページ)で確認いただきたい。 1群 Ⅰ-1-1 待ち行列時間の計算 Ⅰ-1-2 安全係数の大小 Ⅰ-1-3 デシジョンツリー Ⅰ-1-4 材料の機械的特性 Ⅰ-1-5 製作図の作成ルール Ⅰ-1-6 構造物の破壊確率 2群 Ⅰ-2-1 情報セキュリティ Ⅰ-2-2 計算機内での数値表記法 Ⅰ-2-3 素数を求めるアルゴリズム Ⅰ-2-4 うるう年か否かの決定表 Ⅰ-2-5 数値列の表記方法 Ⅰ-2-6 クロックとCPU実行時間 3群 Ⅰ-3-1 導関数の微分表現 Ⅰ-3-2 ベクトルの加減 Ⅰ-3-3 有限要素法計算の条件と精度 Ⅰ-3-4 導線が複合時の抵抗計算 Ⅰ-3-5 引張力と材料の伸び Ⅰ-3-6 単純支持された張りの振動 4群 Ⅰ-4-1 両性金属の溶解 Ⅰ-4-2 溶液のモル沸点上昇 Ⅰ-4-3 金属と結晶構造の種類 Ⅰ-4-4 材料を構成する主な金属 Ⅰ-4-5 アミノ酸の種類と性質 Ⅰ-4-6 遺伝子組み換え技術 5群 Ⅰ-5-1 環境管理とその在り方 Ⅰ-5-2 パリ協定で決まったこと Ⅰ-5-3 LNGの液/気の体積比 Ⅰ-5-4 家庭でのエネルギー消費 Ⅰ-5-5 イギリスでの産業革命 Ⅰ-5-6 科学者とその業績 第Ⅰ群 設計・計画 H29年度出題問題(日本技術士会のホームページより) Ⅰ-1-1 待ち行列時間の計算 正答は⑤ 過去問A16のH27年Ⅰ-1-2に同じ 式に数値を当てはめていく。1時間あたりで考えると、 到着率=60人/時間 サービス率=90人/時間(3600秒/時間/(40秒/人)) 利用率=到着率÷サービス率=60/90=2/3 平均系内列長=利用率÷(1-利用率) =2/3÷(1-2/3) =2 平均系内滞在時間=平均系内列長÷到着率 =2/60時間 =120秒 Ⅰ-1-2 安全係数の大小 正答は⑤ 過去問A21のH23年 Ⅰ-1-5に同じ。ここより転記する。
航空宇宙で1.5が選べること。安全率を10や100にしてしまうと、確かに頑丈かもしれないが、重くて飛べない。 また、医薬品で安全率100が選べること。 安全率100の根拠は、動物とヒトの種の差が10倍×ヒトとヒトとの間の個体差10倍です。動物実験で安全性を確認し、ほとんどすべての人が安全に、という思想です。食品の安全率も100となっています。 Ⅰ-1-4 材料の機械的特性 正答は⑤ 過去問D06のH28年Ⅰ-4-4(4群の問題)が類似しているが、この問題はこれよりも基礎的な問題である。 材料の機械的性質を調べるために引張試験を行う。特性を荷重と伸びの線図で示す。材料に加える荷重を増加させると伸びは一般的に増加する。荷重を取り除いたとき、完全に復元する性質を弾性といい、き裂を生じたり分離はしないが、復元しない性質を塑性という。さらに荷重を増加させると、荷重は最大値をとり、材料はやがて破断する。この荷重の最大値は材料の強さを表す重要な値である。これを応力で示し引張強さと呼ぶ。 H28年 Ⅰ-4-4 正答: ② (解答) 材料の弾塑性挙動を、一軸引張試験機を用いて測定したとき、試験機から一次的に計測できるものは加重と変位である。 加重を変形前の試験片並行部の断面積で除することで公称応力が得られ、変位を変形前の試験片並行部の長さで除することで公称ひずみが得られる。 公称応力-公称ひずみ曲線において、試験開始の初期に現れる直線領域を弾性変形領域と呼ぶ。 (参考) 図は材料力学の基礎を学ぶ(機械設計技術者の基礎知識)より Ⅰ-1-5 製作図の作成ルール 正答は① 過去問A9のH26年Ⅰ-1-6に同じ。知っていなければ解けない問題で難問の部類に入る。 H26年 Ⅰ-1-6 正答: ③ (解答) 「 図面は投影法において第二角法あるいは第三角法で描かれる。」は誤り。 日本では図面は第三角法で描くとJISに規定されている。第二角法はない。 寸法記入は製作工程上に便利であるようにするとともに、作業現場で計算しなくても寸法が求められるようにすること。 車輪と車軸のように、穴と軸とが相はまり合うような機械の部品の寸法公差を指示する際に「はめあい方式」がよく用いられる。 「工業製品の高度化、精密化に伴い、製品の各部品にも高い精度や互換性が要求されてきた。そのため最近は、形状の幾何学的な公差の指示が不要となってきている。」は誤り。 図面には表題欄、部品欄、あるいは図面明細表が記入される。 (参考) 図面の投影法・第3角法(機械設計エンジニアの基礎知識)より抜粋 図面は3次元の対象物を2次元に表現したものです。 3次元の対象物を2次元に表現する場合、立体をある平面に投影することになります。 図面は投影を使って描かれます。 図面はヨーロッパを中心として発達し、モンジュの画法幾何学の理論を元に第一角法という投影法を発明しました。 一方、日本やアメリカでは一角法よりも分かりやすい第三角法を使います。日本のJISの製図法においても第三角法を用いることと規定しています。 日本工業規格 JIS Z 8317-1:2008 第 1 部:一般原則適用範囲 Ⅰ-1-6 構造物の破壊確率 正答は②
この図において建物が地震で壊れる強度範囲は18から20でその幅は2、この範囲で建物が地震で壊れる確率は、作用荷重がこの範囲にある確率0.1とこの範囲で建物が壊れる平均確率0.2(Sが18の時には建物は壊れないが、Sが20となると40%の確率で建物が壊れ、平均すると20%、すなわち0.2)を掛け合わせた0.02となります。このSとRを掛け合わせた確率0.02に強度幅2を掛け合わせた(横軸に沿って18から20まで積分した)値0.04が構造物の破壊確率となります。 先頭に戻る 第Ⅱ群 情報・論理 H29年度出題問題(日本技術士会のホームページより) Ⅰ-2-1 情報セキュリティ 正答は① これはボーナス問題である。最も不適切なものは、 ①添付ファイル付きメールの場合、差出人のメールアドレスが知り合いのものであれば、直ちに添付ファイルを開いてもよい。 ※ 最近は友人のメールアドレス名でスパムメールを受け取ることがしばしばある。自分のメールアドレス名でスパムメールが送られてくることもある。メーリングリストにも知らぬ発信人が侵入する。確実なメール以外は開かぬことだ。 Ⅰ-2-2 計算機内部での数値表記法 正答は④
ステップ4 仮数部23文字はxの値を2進数に直したときの文字列で、 x=5/8である。 5/8=1/2+1/8=1010000・・・・ と問題に答えが与えられている。 Ⅰ-2-3 素数を求めるアルゴリズム 正答は⑤ これも題意に従ってアルゴリズムを追いかけていけばよい問題である。アルゴリズムを身に着けようと思えば、このアルゴリズムを思い出しいながら白紙の上に書き出してみることだ。 I←2 は I に初期値として2を代入する。 I←I+1 はループが回ると、 I に入っている数値を1ずつ増やしていく。そしてループが回り続けて N が I で割り切れたとき、Nは素数ではないと判断される。すなわち、「NがIで割り切れる」が「真」のとき、Nは素数ではないと判断されプログラムは終了する。また、 I の値が√Nより大きくなった時(I<=√Nが「偽となった時)」プログラムは終了する。 Ⅰ-2-4 うるう年か否かの決定表 正答は③ 問題を読んでいき、その内容が充足されているかを、与えられた図で確認していけば解ける問題である。 Ⅰ-2-5 数値列の表記方法 正答は④ 過去問B12のH24年Ⅰ-2-2に同じ。過去問より引用する。 H24年 Ⅰ-2-2 正答: ② (解答) 記号|はORを表している。 <数値列>::=01|0<数値列>1 は、01、0*1、0**1、・・・・・・ などが可能で、*や**にはどのような数字が入ってもよい。 得られた数値列を再び定義に従って<数値列>に代入すると、 0011、00*11、00**11、・・・・・・ などが得られてくる。 さらにもう一度代入すると、 000111、000*111、000**111、・・・・・・ と続いていく。 答えは6桁の数字であるから、000111 しか可能性がなくなる。 念のために補足する。新しい<数値列>に入るのは、01、0*1、0**1、0***1、0****1、0****1で上の説明の通り*にはどのような異なった数字列が入ってもよい。たとえば、新しい数値列が*には何も入れない<01>となったとすると、問題の式は次式へと移る。 <数値列>::=01|0<01>1 → 新しい数値式は<0011> 同じくこれを繰り返せば、 <数値列>::=01|0<0011>1 → 新しい数値式は<000111> Ⅰ-2-6 クロックとCPU実行時間 正答は② これも初歩的な問題である。転送命令+算術演算命令+条件分岐命令の全10000命令に必要な全クロックサイクル数を計算し、そのクロックを刻む必要時間を求める。 過去問B03のH25年Ⅰ-2-6と同じ問題である。過去問より転記する。 H25年 Ⅰ-2-6 正答: ③ (解答) 3500×6+5000×5+1500×4=21000+25000+6000=52000CPI 52000/(2×109)=26マイクロ秒 先頭に戻る 第Ⅲ群 解析 H29年度出題問題(日本技術士会のホームページより) Ⅰ-3-1 導関数の微分表記 正答は⑤ 過去問C16のH20年Ⅰー3-2と同じ問題である。過去問より転記する。
Ⅰ-3-2 ベクトルの加減 正答は④ 新しい傾向の出題であるが、ベクトルの性質を知っていれば簡単に解ける。
Ⅰ-3-3 有限要素法計算の条件と精度 正答は④ 過去問C06のH24年Ⅰー3-1に同じ。過去問より解答を転記する。 H24年 Ⅰ-3-1 正答: ① (解答) 「粗い要素分割で解析した場合には常に変形は小さくなり応力は高めになるので、応力評価に関しては安全側である。」は誤り。 応力評価に関しては不安全側である。下の(参考)を見てください。 要素分割の影響を見るため、できれば複数の要素分割によって解析を行い、結果を比較するのが望ましい。 ある荷重に対して有効性が確認された要素分割でも、他の荷重に対しては有効とは限らない。 応力の変化が小さい部分に対しては、応力自体の大小にかかわらず要素分割の影響は小さい。 応力の変化が大きい部分に対しては、要素分割を細かくするべきである。 (参考) 超重要! メッシュサイズと8つの質問(設計者CAEを始める前にシッカリ学ぶ有限要素法)より抜粋 Ⅰ-3-4 導線が複合時の抵抗計算 正答は② 問題に与えられた回線図のA端とB端を持って引っ張ると下図が得られる。図(a)のブリッジ部分は電流が流れないから無視である。まず並列時の抵抗を計算し、得られた値を足し合わせて直列時の抵抗とする。 この計算通りの値であれば、確かに答えは②となる。
電流の入り口から出口までの電圧降下は、入り口からYを経て出口までを計算すると 電圧降下 = r×i1 + 2×ri2 = 1.4ri となる。 念のために、どの経路を辿っても1.4riとなる。 すなわち、(c)の系の合成抵抗はRc=1.4rと求まり、Rb=1.5rよりも小さな値である。 ※ もっと簡単な解法が存在します。あっという間に答に至ります。 Ⅰー3-5 引張力と材料の伸び 正答は③ 過去問C01に基本的な事柄を記述しています。 σ=F/S=E・ΔL/Lの式と、 1N=1kg・m/s2、および1Pa=1N/m2=1kg/(m・s2) がわかっていればすべて解ける、簡単な問題群です。 この式に数値を代入していけば簡単に解ける問題です。力PはAC方向およびBC方向の引っ張り力へと分解します。 ACに関して、(1/2・P)/A1=E・δ1/L BCに関して、(√3/2・P)/A2=E・δ2/(L/√3) この両式よりEを消去すると、δ1/δ2=A2/A1となる。 Ⅰ-3-6 単純支持された張りの振動 正答は⑤ 過去問C02の平成25年Ⅰ-3-2に同じ。過去問より引用する。 H25年 Ⅰ-3-2 正答: ③ (解答) 固いと速く揺れ、柔らかいとゆっくり揺れる。これは日常よく経験することである。固いということは同じ力で押してもたわみが小さいということであるし、柔らかいということは反対にたわみが大きいということである。たわみが大きい(c)の固有振動数が最も小さい。 直感で解答にたどり着ける問題である。たとえば、コイル状のバネをイメージすると、強いバネは速く振動し、弱いバネは遅く振動する。 先頭に戻る 第Ⅳ群 材料・化学・バイオ H29年度出題問題(日本技術士会のホームページより) Ⅰ-4-1 両性金属の溶解 正答は④ 過去問D02のH23年Ⅰー4-2と同じである。過去問より引用する。Al、Zn,Sn、Pbが両性金属であることを覚えておく。 H24年 Ⅰ-4-2 正答: ③ (解答) Al3+イオンはAlが両性金属なので、過剰量の水酸化ナトリウムに溶解します。 両性金属は酸にもアルカリにも溶ける金属という意味で、下の表にあるAl、Zn、Sn、Pbの4種類の金属です。 (参考) 両性金属 Ⅰー4-2 溶液のモル沸点上昇 この問題は水溶液のモル沸点上昇に関する問題である。水の沸点は100℃であるが、ここに溶質が1mol/リットルの濃度で溶解すると、沸点が0.52℃上昇し、100.52℃が沸点となる。この沸点上昇の大きさは溶解している溶質のモル濃度に比例する。 問題では、NaCL、ブドウ糖、CaCL2のいずれもが0.10モル/kg-水溶液に溶解している。この記述からすると、この3者ともにモル沸点上昇の大きさは同じであると結論してしまいそうである。しかしながら、NaCLとCaCL2は水溶液中において次のようにほぼ完全に電解してイオンとして存在している。 NaCL → Na+ + CL- CaCL2 → Ca2+ + 2CL- NaCLは0.10モル濃度で溶解しているが、実際にはモル沸点上昇には0.20モル濃度で効いてくる。同様に、CaCL2は0.30モル濃度で効いてくる。一方、ブドウ糖は電離することはないので、そのまま0.10モル濃度である。この結果より、CaCL2溶液の沸点が一番高くなる。 (参考1)(参考2) 浸透圧の計算においては、ファントホッフの法則がある。ここでもNaCLやCaCL2が電離すると2倍、3倍に効果を発揮する。 ΠV=nRTという気体の状態方程式と同じ関係式が成り立つことをファントホッフが発見しました。この関係を浸透圧に関するファントホッフの法則といいます。 モル濃度は溶質粒子の総粒子量のことなので、電解質の場合は沸点上昇や凝固点降下と同様に電離式を書いて、総物質量を出しておく必要があります。 例えば、塩化ナトリウムの場合は電離してイオンになり非電解質の2倍の粒子量になるので、同じ物質量溶かした溶液では非電解質の場合の2倍の浸透圧を示すということです。
Ⅰ-4-5 アミノ酸の種類と性質 正答は① 過去問D14のH25年Ⅰ-4-5に同じである。過去問より再記する。 H25年 Ⅰ-4-5 Ⅰ-4-6 遺伝子組み換え技術 正答は① この問題は知識がなくては解答できない。自信がなければ避けて通るべき問題である。 設問① 正答であるので、この内容は正しい。 設問② 成功年が誤っています。 1979年には組換え医薬品第1号として、米国ジェネンテック社の研究者が世界で最初に大腸菌で生産させたヒト型インスリンが登場します。(バイオ技術で薬を作る) 設問③ 陰極に向かってではなく陽極に向かってです。 緩衝液などに核酸(DNA/RNA)を溶解すると、リン酸残基によりマイナスに荷電します。この溶液(DNA 試料) をアガロースゲルに添加し、緩衝液中で電気泳動を行なうと+側(陽極) に移動します。(アガロースゲル電気泳動) 設問④ 制限酵素はDNAの認識部位が決まっているので、生じるDNA長さは 同じ長さになるとは限らない。 設問⑤ 「臓器や組織におけるDNAの偏在はない?」との設問です 受精すると、父親と母親から由来の遺伝子が交差して、新たな遺伝子が作り出される。この遺伝子が分化を繰り返し、一個体を作り上げる。最初の1つのDNAがコピーを繰り返して一個体を作り上げるため、体のどの部分をとっても最初のDNAと全く同じDNAが存在していることになる。ただし、そのDNAから器官(肝臓など)が作られるときにはそれに必要な遺伝子機能のみが活性化し、不要な部分は不活性とされる。(興味ある方はiPS細胞も参考としてください) 下の図から、ゲノムライブラリーはDNA全体から切り出された部分であり、cDNAライブラリーは器官の発現に利用されたDNA部分に由来していることが分かる。従って、この設問の内容は誤りである。 なお、cDNAとは相補的DNAのことである。 (cDNAライブラリーとゲノムライブラリー)より 先頭に戻る 第Ⅴ群 環境・エネルギー・技術 H29年度出題問題(日本技術士会のホームページより) Ⅰ-5-1 環境管理とそのあり方 正答は① 参考になるのは過去問E10のH20年Ⅰー5-4およびH26年Ⅰー5-2である。それぞれの答えを再録した。 (A)のライフサイクルアセスメントはH26年の問題で、(B)の汚染者負担原則はH20年の問題で、(C)の拡大生産は責任はH20年の問題で、(D)の環境監査はH20年の問題および(参考)で説明がなされている。 H20年 Ⅰ-5-4 正答: ④ (解答) 「環境監査とは、事業活動において環境保全のために投資した経費が、税法上適切に処理されているかどうかについて、公認会計士が監査することをいう。」は誤り。 機関や企業が環境に対して取り組んでいる事柄を広く一般に開示する報告書である。 汚染者負担の原則は、公害防止のために必要な対策をとったり、汚された環境を元に戻したりするための費用は、汚染物質を出している者が負担すべきという考え方である。 拡大生産者責任は、生産者が製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという考え方であり、OECD(経済協力開発機構)が提唱した。 「PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実施)、Check(点検)、Action (是正)を意味し、品質向上のためのシステム的考え方となる。ISO9000sにおける環境マネジメントシステムの規格にも採用された。)は誤り。 ISO14000です。 H26年 Ⅰ-5-2 正答: ① (解答) 「ライフサイクルアセスメントとは、企業の生産設備の周期的な更新の機会をとらえて、その設備の環境への影響の評価を行うことをいう。」は誤り。 製品やサービスに対する、環境影響評価の手法のこと。 「環境報告書とは、大気汚染物質や水質汚濁物質を発生させる一定規模以上の装置の設置状況を、事業者が毎年地方自治体に届け出る報告書をいう。」は誤り。 機関や企業が環境に対して取り組んでいる事柄を広く一般に開示する報告書である。 「グリーン購入とは、製品の原材料や事業活動に必要な資材を購入する際に、バイオマス(木材などの生物資源)から作られたものを優先的に購入することをいう。」は誤り。 環境負荷ができるだけ小さいものを優先して購入する。 「環境監査とは、事業活動において環境保全のために投資した経費が、税法上適切に処理されているかどうかについて、公認会計士が監査することをいう。」は誤り。 企業が独自に環境管理体制を点検すること。 環境会計とは、事業活動における環境保全のためのコストやそれによって得られた効果を金額や物量で表す仕組みをいう。 (参考) ライフサイクルアセスメント(Wikipedia) ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)とは製品やサービスに対する、環境影響評価の手法のこと。 「ライフサイクルアセスメント」では、主に個別の商品の製造、輸送、販売、使用、廃棄、再利用までの各段階における環境負荷を明らかにし、その改善策をステークホルダーと伴に議論し検討する。
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