D04  中和とpH



この問題の努力目標

  理解する




技術士試験の問題からは必要最小限の引用にとどめる。(問題)が記されている部分はその引用である。

問題および解答は日本技術士会のホームページより必要に応じて入手してください。

  技術士第一次試験の問題    



問題番号が赤字のものは、ボーナス問題

H25年 Ⅰ-4-2
   H23年 Ⅰ-4-1   H19年 Ⅰ-4-1

同じ問題

H25年 Ⅰ-4-2 と H19年 Ⅰ-4-1




H25年 Ⅰ-4-2

正答: ② 

(解答)

出題の酸塩基の整理表を作成する。価数は電離できる酸(H)あるいは塩基(OH)の数を表している。強酸、強塩基はHやOHを電離(解離)しやすく、弱酸や弱塩基はそれらを電離しにくい。濃度(モル/L)はその溶液1リットルに含まれている酸・塩基のモル数を表している。

化学名 化学式 酸/塩基 価数 濃度(モル/L)
(ア) 硫酸 SO 強酸 1.0
(イ) 水酸化ナトリウム NaOH 強塩基 2.0
(ウ) 塩酸 HCl 強酸 1.0
(エ) アンモニア水 NHOH 弱塩基 2.0
(オ) 酢酸 CHCOOH 弱酸 1.0

問題文に与えられた中和反応式を描きだすと次のようになる。

① HSO+2NaOH→NaSO+2H
② HSO+2NHOH→(NHSO+2H
③ 2NaOH+HCl→NaCl+NaOH+H
④ 2NaOH+CHCOOH→CHCOONa+NaOH+H
⑤ 2NHOH+CHCOOH→CHCOONH+NHOH+H

③、④、⑤では酸で中和しきれない塩基が溶液中に残っているので溶液は塩基性(アルカリ性)である。
①は強酸と強塩基の中和であり、生じたNaSOは中性物質となる。
②は強酸と弱塩基の中和で、生じた(NHSOは酸性を示す。



H23年 Ⅰ-4-1 

正答: ② 

(解答)

設問

解        説
酸の強さは(参考)にも示しているように、pKa値で比較することができる。この値が小さいほど強い酸ということになる。
水中でのpKa値は、小さい方(強酸)から順に並べると次の通りである。
    強酸 ← 塩酸 -3.7、 硫酸 -3、 酢酸 4.8、 炭酸 6.4、 フェノール 10.0 → 弱酸
塩酸は強酸であり、酢酸は弱酸であるので、塩酸の方が低いpH値を示す。
塩酸lは水中でHを解離しやすく、酢酸は水中で塩酸ほどにHを解離しないので、塩酸の方が水中でのH濃度が高くなる。
  pH=-log[H]であるから、塩酸の方が小さなpHを与える。
ナトリウムとカリウムは周期律表のIA属に、カルシウムとバリウムは周期律表のⅡA属に属する元素であり、その水酸化物は水に溶けると強塩基性を示す。
炭酸カルシウムに希塩酸を加えると次の反応が起こる。
    CaCO+2HCl→CaCl+HO+CO
  発生したCOは水に溶解するとHCOであるが、弱酸であるためイオン化しにくく、さらに水中には塩酸のHがあるために、そのほとんどがHCOの形で存在する。HCOの水への溶解度は低く、HCO→HO+COと分解が進み、水中の濃度をその条件下での溶解度まで低減する。
反応式は次の通りである。
  (NHSO+2NaOH→NaSO+2HO+2NH


(参考)

酸解離定数(Wikipedia)より



※ 少し余談にはなるが、このpKaの定義に従うと、水のpKaは15.74となる。

 Ka=[H][OH]/[HO]=1.0×10-14/(1000/18)=18×10-17
 pKa=-log(18×10-17)=15.74

また、BOH⇔B+OHよりKb=[B][OH]/[BOH]。BOHがHOの時は、Kb=[H][OH]/[HO]。
従って、水のpKb=15.74

さらに、純粋な水は[H]=[OH]。従って[H]=10-7。pH=-log[H]=7.0




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