E19  人類と技術



この問題の努力目標

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技術士試験の問題からは必要最小限の引用にとどめる。(問題)が記されている部分はその引用である。

問題および解答は日本技術士会のホームページより必要に応じて入手してください。

  技術士第一次試験の問題   



問題番号が赤字のものは、ボーナス問題

H24年
 Ⅰ-5-5   H16年 Ⅰ-5-5   H16年 Ⅰ-5-8



H24年 Ⅰ-5-5 

正答: ④

(解答)

常識的には産業革命は民間技術から生み出されたものですが、産業革命(Wikipedia)の記述もそのようになっています。


見革命的に見える新技術も、多くは既存の技術をもとにして改良を積み重ねることで達成されたものである。

新技術の発展により、手工業的な作業場は機械で重装備された大工場に置き換えられていった。

新技術のアイデアには、からくり人形や自動人形などの娯楽製品から転用されたものもある。

「新技術の開発は、ヨーロッパ各地の大学研究者が主導したものが多く、産学協同の格好の例と言える。」は誤り。
産業革命(Wikipedia)によると、「産業革命の原動力となった蒸気機関や紡績機などの機械は、時計を分業によって制作できる高度な技術が応用された。

新技術は生産効率を高めたが、反面で安い労働力を求める産業資本が成長し、長時間労働や児童労働などが社会問題化した。

産業革命(Wikipedia、English)のLabour Conditionsに記載されている。



H16年 Ⅰ-5-5

正答: ③ 

(解答)

「ミュラーが殺虫剤としての優れた特徴を見いだし、後のノーベル賞を受賞する業績になったDDT(1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(4-クロロフエニル)エタン)は、その後、環境を破壊する化合物として使用が厳しく制限されるようになった。DDTは人間に対して強い毒性を持ち、これまでに多くの死者を出している。」は誤り。
DDT(Wikipedia)によると、LD50は、113mg/kg(rat)(※人の体重が60kgとすると6.8g相当)で、EUでは毒物に指定されている。しかし、急性毒性で人がなくなったとの記述はない。DDTの分解物のDDE、DDAは非常に安定しており、分解しにくく環境中に長く留まり影響を与える可能性があり、また食物連鎖を通じて生体濃縮されることがわかった。発がん性が疑われている。

「放射線で照射して殺菌する食物として日本ではジャガイモが実用化されているが、放射線を照射すると食品が放射能を持つようになるので、日本以外では食品を放射線殺菌することは認められていない。」は誤り。
ジャガイモ(Wikipedia)によると貯蔵中の発芽を抑制するために、放射線(ガンマ線)を照射する。ガンマ線であるので、放射能を持つことはない。

極地では海水に巨大な氷山が浮いている状態が見られるが、氷山の下に陸地などが無く、単に氷山が浮いている場合には地球温暖化によってその氷山が溶けても海水面の高さには影響がない。
アルキメデスの原理です。「溶けても」は「融けても」ですね。

「食品添加物は安全が第一なので、地上に生息しているあらゆる生物に任意の量を投与しても毒性を示さない元素や化合物だけが、認可の対象になる。」は誤り。
実験動物はrat、mouseなどが主です。この表現だと人間を使っての確認実験も含まれます。任意の量も間違いです。現在、実際に使用されている食品添加物であっても、多く与えると何らかの良くない作用を示すものが多くあります。

「人間の生活に有用に使える状態にある鉱石や原油などは埋蔵資源、化石資源などと呼ばれる。元素は質量保存則が成立するので、人間が使用しても元素の質量は不変であるから、人間の生活に有用に使用できる資源は尽きることはない。」は誤り。
鉱石から取り出された金属は使用後に回収されればよいのですが、回収されない場合は再利用できない資源となります。また、石油のように燃えると水と二酸化炭素となり、元の形を保たないもあります。




H16年 Ⅰ-5-8

正答: ④

(解答)

人類の歴史を振り返ると、軍事目的で開発された技術が、新たな技術革新を推進させることが、しばしばある。

たとえばインターネットは、軍事目的の自律分散型ネットワークの開発が発端だったし、カーナビなどに使われているGPS軍事用の衛星がその端緒である。

最新技術は使い方次第でどのような目的にも使えるものであり、その使途が重要なのである。





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