説明資料 2
  
 化学の歴史における特徴的なエポックをスライドに示した。このスライドを見ると、化学が科学として本当に歩みだしたのは比較的近年(下のスライド、化学の歴史2)になってからであることが分かる。従って化学はまだ300年にも満たない新しい学問ということになる。

 1700年代の前半までは錬金の試みが全世界的に行われ、錬金術師たちが闊歩した時代が長く続いた。この時代の失敗の連続が今日の化学の礎となったことは間違いない。物理学者であったアイザック・ニュートン(1643-1727)は最後の錬金術師(魔術師)と言われ、彼の残した研究ノートをオークションで競り落とした経済学者のケインズはそのノートの内容を知ってビックリしたとの話もある。

 中世を動かしていたのはアリストテレスの思想である。アリストテレス(Wikipedia)よりその部分を抜粋すると、

アリストテレス 後世への影響

 後世「万学の祖」と称されるように、アリストテレスのもたらした知識体系は網羅的であり、当時としては完成度が高く、偉大なものであった。(中略)保持され進化したアリストテレス哲学は、1150年から1210年にかけてアラビア語からラテン語にいくつかのアリストテレスの著作が翻訳されたことにより、ヨーロッパに再導入された。アリストテレスの学説はスコラ学に大きな影響を与え、13世紀のトマス・アクィナスによる神学への導入を経て、中世ヨーロッパの学者たちから支持されることになる。しかし、アリストテレスの諸説の妥当な部分だけでなく、混入した誤謬までもが無批判に支持されることになった。

 アリストテレスの思想が中世世界を重く支配し、科学の発展を遅らせたことは間違いない。

 以下の資料で出てくる人物の検索ができるようにした。また、この中でメンデレーエフとハーバーの、化学への貢献は大なるものがある。次のブログにもまとめている。また、ハーバーのアンモニア合成法に関してはこの次の説明資料3に示している。
    

 化学元素の周期律表を1869年に発表したロシアのメンデレーエフ

 ハーバー・ボッシュ法のアンモニア合成が世界の人口を支える


 以下で出てくる人物名一覧

タレス  デモクリトス  アリストテレス

錬金術 パラケルスス  フラメル  ザシェール  ヘルヴェティウス  

プライス  セムラー

ボイル  ラボアジェ  ドルトン  アボガドロ  ウェーラー  ソルベー  

メンデレーエフ  ルシャトリエ  モアッサン  ホール  レイリー  

ハーバー  カロザース




科学史ライブラリー 錬金術の歴史 -近代化学の起源-
   E,J,ホームヤード著 大沼正則監訳 (1996年、朝倉書店)

内容説明

近代以前の化学の世界。錬金術は神秘的・魔術的と思われている。しかし、化学を生み出したのは錬金術であった。本書は錬金術を化学史、また広く人類史の中に位置づけ、錬金術の研究によって獲得されてきた科学的知識の蓄積と発展をあわせて描く。“化学”と“神秘”、錬金術のこの二面性を、その基礎にある哲学的概念を含め解説。写真や線画も多数収められている。

目次

ギリシアの錬金術師
中国の錬金術
錬金術用器具
イスラムの錬金術
初期の西洋錬金術
記号・象徴・秘語
パラケルスス
イギリスの錬金術師
スコットランドの錬金術師
2人のフランスの錬金術師―フラメルとザシェール
ヘルヴェティウス、プライス、セムラー

  
 
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